一気に飛ばして行くと思われた3歳のチリエージェが作った前半3Fのペースは34.6秒。これではスプリンターズSを展望する古馬のグループはみんな馬なりでかかり気味に追走できる。
後半3Fの方が、1秒も速い33.6秒。スプリント戦にしてはきわめて珍しい前後半の逆転バランスになり、自在性を増しているゴールデンキャストが2番手から抜け出し、直後にいたキーンランドスワンが2着。59キロのサニングデールも置かれることなく追走し、寸前に伸びて3着。
スプリンターズSを展望する人気上位組がそのまま上位を占める形となった。人気上位組ではドリームカムカムだけが出足がつかず、なおかつ3コーナーでバランスを崩して早々と諦めたが、上積みは乏しいだけに出足がつかなかった時点で無理だった。
勝ったタイキシャトル産駒のゴールデンキャストは、今季大幅に自在性を増し、前半置かれることがなくなってきた。2歳夏に1400mを1分21秒1の阪神2歳レコードで乗り切ったスピード型。置かれることが多かったのはスタートに難点があったため。もうその心配はなく、勢いに乗ってG1に挑戦できる。
キーンランドスワンは4歳時は脚部難で出走できなかったが、5歳の今年、すっかり本来のスピード能力を取り戻している。こちらもスプリンターズSの有力馬に復活した。
59キロと今回の特殊な流れを考慮すると、サニングデールは立派。あまりスムーズではないとされる右回りでの実力発揮だけに価値がある。自身(35.4-33.2秒)という変に負担のかかるようなラップを踏まされてしまったが、まず反動の心配はないだろう。
京成杯AHの1600mも、47.2-45.6秒のスロー。速い上がりが記録されたが、秋のG1が見えたのは4着ミスキャスト。やっと体調が整いつつある。遅まきながら、これから本格化だろう。