◆「これから詰めて使っていくのはラニにとっていい方に出ると思う」
控えめなことばかりを言うわけではないが、決して大風呂敷を広げるような人でもない。そんな松永幹夫調教師が「次か、その次は勝ち負けできるんじゃないかな」と発言したのにはビックリした。
先日の米GIケンタッキーダービーでは9着に敗れたものの、21日のプリークネスS(ピムリコ競馬場、ダ1900メートル)、6月11日のベルモントS(ベルモント競馬場、ダ2400メートル)に挑戦予定のラニのことだ。前走のケンタッキーダービーはトレーナーの予想以上の走りを見せてくれたという。
「現地に着いてから、普通の調教すらできない状況だったからね。しかもレースでは外々に振られながらも、よく走ったと思うよ」
なんでもチャーチルダウンズ競馬場のコースは向正面に馬の出入り口があるため、調教をしていても向正面に差しかかると、ラニが他馬に寄っていってしまって普段の調教すらまともにできなかったのだとか。レース後、ベルモント競馬場に移動したが、こちらは「出入り口が1〜2角のところにあるから、なんとかうまく調整できている」というからひと安心だ。
「それに前走は他馬が皆ケンタッキーダービーを目標に目一杯仕上げてきている中で、ちょっと馬がボケていたような感じもあったから」
未勝利勝ち後、連闘で東京へと輸送し、カトレア賞(500万下)を勝っている馬だけに、「これから詰めて使っていくのはラニにとっていい方に出ると思う」とトレーナーは手応え十分だ。
プリークネスSの後は24日の仏GIイスパーン賞(シャンティイ競馬場、芝1800メートル)でエイシンヒカリに騎乗と、海外遠征が続く主戦の武豊も「プリークネスSはさらに小回りで距離が短くなるのがどうかだけど、前より動けそうだし、ベルモントSはさらに楽しみ」と前向き。国内の競馬も最高潮を迎えているが、海を渡ったラニの奮闘にも注目してほしい。(栗東の坂路野郎・高岡功)