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ドゥラ引退で改めて思う「無事之名馬」の重み/トレセン発秘話

  • 2016年07月01日(金) 18時00分


◆キタサンブラック、現4歳世代のけん引役として

 宝塚記念前、心身ともに充実したピークの状態に自信を深めたキタサンブラックの辻田キュウ務員は「今のデキでドゥラメンテとやって、どれだけ差が縮まるか。すごく楽しみなんです」と興奮気味に話していた。

 3歳クラシック時には皐月賞=0秒6差、日本ダービー=2秒3差という決定的な着差をつけられた同期のライバル。結果はわずかハナ差ながらも先着を許し、リベンジとはならなかった。

「やっぱり、あの馬は強いですね」と肩を落としつつも、確実に迫りつつあるその差に辻田キュウ務員は手応えもつかんでいたのだが、その宿敵は電撃引退を表明――。

「結局、あの馬には最後まで勝てずに終わってしまいました。1回は先着してみたかったんですけどね」と大目標にしていた同期のライバルがターフを去ることに、辻田キュウ務員は寂しそうな表情を見せていた。

 まともなら今年の凱旋門賞で勝ち負けしていたはずの逸材のリタイアは競馬界にとって大きな損失で、「無事之名馬」という言葉の意味を改めて思い知らされる。

 無事之名馬といえば、このキタサンブラックはその典型かもしれない。宝塚記念へ向けて毎週のようにウッドで週2回ビッシリ時計を出すなど、攻めに攻め抜きながらも、当日の馬体重はプラス12キロ。デビュー以来、これといったアクシデントもなく、ダービー(14着)以外は全て3着以内に入っているのだから、その頑強さ、堅実さは目を見張るものがある。

 重に近い稍重馬場で1000メートル通過59秒1のハイラップを刻み、3着に粘った走りに「宝塚記念で一番強かったのはキタサンブラック」と感想を漏らした関係者は非常に多い。ドゥラメンテという大目標はいなくなってしまったが、このキタサンブラックには現4歳世代のけん引役として、秋のGI戦線を盛り上げていってほしい。(栗東の坂路野郎・高岡功)

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