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スプリンターズS

  • 2004年10月04日(月) 12時15分
 出馬発表のあった金曜日、あるいは土曜日の時点では、1分06秒台の高速決着も予想された今年のスプリンターズSは、予想を大幅に早まる大量の雨で、1分09秒9(不良)の勝ち時計になった。

 どの馬も悪コンディションに泣くことになったが、重の巧拙とかではなく、大きなプラスを受けたのが、勝ったカルストンライトオ。良馬場だったら、おそらく好スタートから前半32秒5前後の猛ラップを踏むことになっただろう。猛ペースの結果は、1分06秒台で逃げ切ったのか、あるいは…、それは分からない。

 ただ、雨でスピードは鈍った。他馬の追走も思うようにならない。前半33秒6はカルストンライトオにとっては(不良馬場のロスはあっても)、ピッチが上がらないだけ極めて楽。スタミナのロスもなく、他馬が追いすがって来た直線の入り口で、後続を突き放す余力につながった。かつてのただ飛ばすだけのカルストンライトオではなく、少し息を入れつつ追い出して脚を使えるようになったのは、アイビスサマーダッシュの最後の1ハロン11秒2(一昨年は12秒1)や、福島のバーデンバーデンCの粘り(32秒1-35秒2)が示す通りだった。

 短距離型にはどうしても早熟の印象がつきまとうが、この父系の特徴は成長力と、タフな底力。今完成されたのだろう。

 不良の1番枠では苦しい。とても好走は無理かと思えたデュランダルの2着は立派。3〜4角の行きっぷりが他馬とは違っていた。4馬身も離されたが、デュランダルの特徴を考えるとこの内容は濃く、完全に立ち直っている。前者が香港スプリントなら、こちらの次走はマイルCS。連覇の期待をして良い。反動も無いだろう。

 サニングデールは直線で前が壁。全く追えない形になってしまった。不良の内枠、外へは出せない。仕方がないが、この馬場ならもう少し早めにスパートした方が良かっただろう。控えて伸びる馬場ではなかった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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