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京都大賞典

  • 2004年10月11日(月) 12時50分
 断然の人気を集めた4歳ゼンノロブロイは、好位のインでレースの流れに乗り、ほぼパーフェクトな内容で2分25秒2(上がりは34.0-11.4秒)。能力は出し切っている。寸前で甘くなったように見えるが、最後11.4-11.4秒でまとめているのだから、少しも甘くなったわけではない。道中、多少かかり気味になったがロスはほとんどなかった。

 このゼンノロブロイは確かに詰めは甘いものの、一連のG1で絶えず2〜4着に好走し、大崩れのない馬。とすると、ほぼ完璧に乗った同馬を一気に差し切った5歳ナリタセンチュリーは立派。アドマイヤグルーヴ(武豊)をマークする形で後方から進み、外を回って上がり33.7秒(1ハロン推定10.8〜9秒)。鮮やかな切れ味だった。

 流れは明らかに先行型有利なスロー(1分13秒9-1分11秒3)。これをまとめて差し切ったのだから着差(クビ)以上の価値を認めたい。ハンデ戦の中京記念2着時と異なり、今回は別定の57キロだった。

 5歳秋とはいえ、再三の休養でキャリアはまだ17戦7勝。オープンに出世したのは今年に入ってから。毎日王冠を制したテレグノシスと同じトニービン産駒の5歳馬で、母の父ノーザンテーストまで同じ。ハデな一面がないだけに無名に近かったが、渋い奥手型がいま本格化といえる。そう器用なタイプではなく、東京の天皇賞・秋は、距離、コースともに望むところだろう。

 ゼンノロブロイは確勝の一戦を落としたのは痛い。もうこれで1年以上勝ち星なし。規定により、天皇賞・秋への出走順は、20番目以下に落ちることになった。アドマイヤグルーヴは57キロの不利があったとはいえ、同じ位置にいたナリタセンチュリーに4馬身も離されたのは不満。ムラなレース内容から脱却できず、この馬、決して人気を落とすことがないだけに、この後もいかに相手有利となっても、そうそう過信できない。レニングラードの3着も、内容は意外に平凡だった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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