マッチレースになった人気の2頭の中身は高く評価したい
1分50秒6の勝ちタイムはとくに目立つものではないが、乾いてパサパサに映った夏のダートであり、良馬場とすれば2009年のトランセンド(フェブラリーSなどダート10勝)の1分49秒5に次ぐ隠れた好時計だった。
1番人気の
ケイティブレイブ(父アドマイヤマックス)の作ったペースは、隊列の決まった3ハロン目からゴールまで7ハロン連続して「12秒台」の一定ペースだった。最後の1ハロンも12秒7でまとめているので、失速したケイティブレイブをマークしていた
グレンツェント(父ネオユニヴァース)が交わしたわけではない、という意味で、マッチレースになった人気の2頭の中身は高く評価したい。
これで勝ったグレンツェントは、ダート【4-1-1-0】。一方、2着のケイティブレイブはダート【3-3-3-2】。ダート路線を歩む3歳馬とすると、キャリア豊富にみえるが、2頭ともに芝のレースに出走したのは新馬戦だけ。途中から路線を変更したというより、確認するために最初の1戦だけは芝のレースに出走したが、そのあとは予定通りダート路線を進んでいる。
とくにグレンツェントのダート6戦4勝は、芝のトップホースと遜色ない成績で、制した重賞は今回のレパードS(G3)だけではあるが、ダート路線のチャンピオンを目ざすにふさわしいスタートとしていいだろう。
グレンツェントの祖母ハトゥーフ(父アイリッシュリヴァー)は、芝8Fの英1000ギニー、芝10Fの英チャンピオンSなど通算【9-4-1-7】。英、仏、米で活躍の素晴らしい成績を残し、米BCターフ2着などの成績が買われ1994年の米芝牝馬チャンピオンにも輝いている。
グレンツェントは6月のユニコーンSこそ3着にとどまっているが、今回のレース内容や血統背景からして、時計が速く切れ味の生きる9〜10F級のダート戦がもっとも合う可能性が高い。3歳馬が古馬のダート路線でいきなり好勝負に持ち込むのは大変なことだが、やがては…の大きな期待をかけたい。
直線に入ったところでは約5馬身のリードがあり、確勝とみえた態勢から差されたケイティブレイブは見た目には物足りなかったが、自身の上がりは「37秒3-12秒7」。失速したわけではない。ここ2戦の内容から、追い比べに持ち込まれてしまうと決定力不足を衝かれてしまうが、スピード能力を生かしていつもレースをリードできるのは大きい。圧勝した園田のレース内容から、小回りコースの交流重賞は大歓迎タイプだろう。
2頭のマッチレースからは2馬身離されたが、NO.1の上がり36秒4で3着に突っ込んできた
レガーロ(父バーナディニ、祖父エーピーインディ)は印象的だった。母サンタテレジータ(父レモンドロップキッド)は、8.5Fの米AWのG1勝ち馬。すぐ近くに著名馬はいないが、エーピーインディ系の父を持ち、シアトルスルーの「3×4」。ミスタープロスペクターの「5×4」など、近年のダートチャンピオンの典型のような配合である。見栄えのする好馬体の持ち主であり、大跳びのフットワーク。ここから軌道に乗れそうである。
3番人気に支持された
ネクストムーブ(父バトルプラン)は、まだ3戦のキャリアが応えたか、今回はレース前からイライラして集中力がなく、直前はイレ込んでしまった。レースの流れにも乗れなかったから、今回の凡走は仕方がない。好気配の
マイネルバサラ(父シニスターミニスター)は、このメンバーに入るとちょっと非力な印象を与えてしまった。