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菊花賞

  • 2004年10月25日(月) 12時44分
 コスモバルクの出方と同時にレース全体の流れが読みにくかったが、3000mを3等分すると(60.4-63.7-61.6秒)=3分05秒7。ザッツザプレンティの抜け出した昨03年の(60.6-63.7-60.5秒)=3分04秒8とほとんど同じ。最近の菊花賞の典型的なパターンで、超スローから上がりだけ34秒台前半になるような流れではなかった。

 コスモバルクは予想通り、早めに自分で主導権を握り、このペースを作り出したのだから立派。ハナに立ってしまえば折り合ってリズムも良く走れた。13秒台のラップも踏み、能力を100%近く出し切っている。負けはしたが、初の京都で、芝3000mを菊花賞史上の中でも理想のパターンといえる2000m通過(2分04秒1)を記録したのだから、五十嵐冬樹騎手はすごい。天性のペース感覚がある。

 直線に向いてスパートしようとしたが、やはりスタミナ一歩だったと同時に、デルタブルースの岩田騎手には陣営から「切れる脚はないので坂の下りからロングスパートをして欲しい」の指示が出ていた。こちらは明らかに長距離型。早めのスパートは追い通しの形になったが、角居調教師以下の陣営の読み通りとうとうバテなかった。少なくとも06年春からは中央に転じる予定の岩田康誠が乗っていたことも、コスモバルクにとっては不運。一気に差してくるホウキパウェーブ、オペラシチーが相手だったら、直線入り口からのスパートが決まっていたかもしれない。

 コスモバルクを倒したのは、岩田騎手。最近のビッグレースを象徴するような中身でもあった。

 ホウキパは巧みに内をつき、ほぼ力を出し切っている。立派だったのはここが5戦目だったオペラシチー(父はオペラハウス)で、少々タイプは異なっても、テイエムオペラオーの時代がくることを予感させた3歳暮れの有馬記念のようなゴール寸前だった。

 ハーツクライ、ハイアーゲームの凡走はちょっと残念で、敗因をつかめない部分が大きいが、これでキングカメハメハを筆頭に、ダービーを2分23〜24秒台前半で激走したグループは、2着ハーツクライ、3着ハイアーゲーム、4着キョウワスプレンダ、6着ダイワメジャーなど、5着スズカマンボ(かなりレベルの低い朝日CCは勝った)以外、ことごとく秋の進境がみられず、成長にブレーキがかかったり、故障しているのは怖いことだ。求められる以上の「快時計」で走った馬が、そのあとスランプに陥るのは古馬でも同じ。再三みられる事実だ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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