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父母合わせてGIを12勝、三冠馬同士の配合から誕生した超良血モクレレ

  • 2016年09月07日(水) 12時00分
グラニーズチップス(牝 栗東・藤原英昭 父ハーツクライ、母ココシュニック)
 富士S(GIII)を勝ち、天皇賞・秋(GI)でも2着となったステファノスの4分の3妹。父はディープインパクトからハーツクライに替わった。母方にChief's Crownを持つハーツクライ産駒は、JRAで走ったわずか13頭からヌーヴォレコルト(14年オークス-GI、15年中山記念-GII、14年ローズS-GII)、ベルラップ(14年京都2歳S-GIII)が出ている。また、クラシックを制覇したハーツクライ産駒2頭、ワンアンドオンリーとヌーヴォレコルトは、本馬と同じく母方にMr.ProspectorとDanzigを併せ持っている。本馬と父が同じで母同士が全兄弟(つまり血統内容は同じ)のボルドネス(牡4歳)は現在ダートで2勝を挙げている。本馬はステファノスの下で、なおかつ牝馬なので芝でも十分やれるはず。

マンボスカイ(牝 栗東・斉藤崇史 父ハーツクライ、母ティエッチマンボ)
 母ティエッチマンボは現役時代にダートで3勝。繁殖牝馬としては優秀で、本馬の兄弟にはアドマイヤメジャー(父アグネスタキオン/10年朝日チャレンジC-GIII・3着、09年セントライト記念-GII・4着)、ティンバレス(父ウォーエンブレム/16年エンプレス杯-JpnII・3着)、エルマンボ(父ウォーエンブレム/16年丹沢S-1600万下)などがいる。本馬は「ハーツクライ×Kingmambo」という組み合わせ。これはツルマルレオン(13年北九州記念-GIII)、ディアマイダーリン(15年クイーン賞-JpnIII)、コウエイオトメ(14、15年日経新春杯-GII・4着)、ルイーザシアター(11年京都新聞杯-GII・4着)などと同じ。距離の長短、芝・ダートを問わず活躍馬が出ている。本馬は血統的に芝・ダート兼用タイプだが、牝馬なので芝をこなせるような素軽さがあるだろう。距離は万能。

ムックン(牡 美浦・大江原哲 父ハーツクライ、母ルドラ)
 母ルドラはフランスで7戦1勝。Saddex(08年共和国大統領賞-伊G1、07年ラインラントポカル-独G1)の半妹にあたり、Green Desert≒Aviance 2×2というユニークなクロスを持ち、Ahonoora、Irish River、Best in Showといったサポート血脈も優れているので繁殖牝馬として期待できる。ディープインパクトとの間に誕生したミッキージョイは現在8戦4勝(2着2回)と好成績を挙げており、いずれ重賞でも活躍できる素材だろう。本馬の父はハーツクライ。母方にGreen Desertが入るハーツクライ産駒はいまのところこれといった大物は出ていないが、5頭中4頭が勝ち上がっており相性は悪くない。母のポテンシャルから考えて芝中距離でおもしろいところがありそうだ。

モクレレ(牡 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母アパパネ)
 母アパパネは牝馬三冠馬で、他に阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)とヴィクトリアマイル(GI)を制している。父ディープインパクトも三冠馬で、なおかつGIを7勝。父、母、母の父、2代母はいずれも金子真人さんの持ち馬で、父母合わせてGIを12勝している究極の良血馬。「ディープインパクト×キングカメハメハ」はデニムアンドルビー(13年ローズS-GII、13年フローラS-GII、13年ジャパンC-GI・2着、15年宝塚記念-GI・2着)を筆頭に7頭中5頭が勝ち上がり、連対率36.1%と優秀な成績を挙げている(ディープインパクト産駒全体は24.2%)。母アパパネは筋肉質で大柄な馬体をしており、Kingmambo系の長所であるフィジカル面の強さを持っていた。小柄でやや非力な父にこうした特長は合うだろう。馬体重は480kg台なのでサイズ的にも理想的で、この血統にふさわしい万能タイプの名馬となりそうだ。

レッドストーリア(牝 栗東・安田隆行 父ディープインパクト、母アルレシャ)
 母アルレシャは仏15戦0勝と冴えない競走馬だったが、その全妹Bethrahは愛1000ギニー(愛G1)を制した名牝。2代母レーヴディマンは名牝レーヴドスカー(00年サンタラリ賞-仏G1)の全妹にあたる良血と、血統背景は華々しい。いうまでもなくレーヴドスカーはレーヴディソール(父アグネスタキオン/10年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI)、レーヴミストラル(父キングカメハメハ/15年青葉賞-GII、16年日経新春杯-GII)、アプレザンレーヴ(父シンボリクリスエス/09年青葉賞-GII)、レーヴダムール(父ファルブラヴ/07年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI・2着)、レーヴドリアン(父スペシャルウィーク/10年きさらぎ賞-GIII・2着)、レーヴデトワール(父ゼンノロブロイ/14年桜花賞-GI・5着)、ナイアガラ(父Fantastic Light/06年すみれS-OP)の母。本馬は「ディープインパクト×Marju」なので桜花賞馬マルセリーナと同じ組み合わせで、血統的なポテンシャルは高い。全姉レッドブリエ、半姉レッドアナベル(父キングズベスト)はいずれも未勝利馬だが、ハマれば大きいところを狙える馬だろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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