スマートフォン版へ

天皇賞・秋

  • 2004年11月01日(月) 12時11分
 人気のゼンノロブロイの勝利は、これは衆目の一致する支持通りで、ちょっと世代レベルに物足りなさのある4歳馬とはいえ、今回は当面の相手とされた5〜6歳馬も、さらには3歳馬も、決してそれぞれの世代のトップではないのだから、世代うんぬんではなかった。

 ペリエ騎手もさすがで、外の13番枠ながら、少しずつインに入れ、勝負どころの3〜4コーナーでは内に入っていった。今年、明暗を分けたのはこのコース取りで、重馬場発表なのに水分の少ないのはイン寄りだけ。再三乗ったペリエは分かっていた。見た目よりも芝が良いと映る真ん中より外は、たっぷりと水分を含み、外に回った馬はどの馬も不発(最終12Rや、天皇賞、10Rなど、あまりに差が大きかった)。不思議な馬場の整備手法で、人気上位グループでは大外に出したテレグノシスや外のリンカーンなど、伸びるどころか差が広がる一方だった。内側だけ吸水処理をしたのではないか、そういう不信感さえ抱かせるあまりの馬場差に、少し後味の悪さが残った。

 インぴったりを通ったダンスインザムード、アドマイヤグルーヴ、そしてこれを内ラチから離れなかったツルマルボーイが4着。ラチ沿いを逃げたローエングリンが5着。坂下で横に大きく広がったように見えたが、内の5頭だけが1〜5着だった。同じ18頭立ての12レースも、上位を占めたのは全部内枠の馬だけで、外枠の馬は(人気馬が多かったが)すべて圏外だった。

 3歳牝馬ながら、あわやのダンスインザムードは、内枠の利を受けたとはいえ、これは立派。激しくイレ込んだ秋華賞とは異なり、中1週ながら今回は能力を出し切れた。ルメール騎手だからではないだろう。しかし、ペリエ=ルメールの1〜2着は、とりあえずの感想としても、あまりではないかとは思う。

 アドマイヤグルーヴはマイナス12キロ。別馬のようにシャープだった。これは能力通りで見事。もっと強くなる期待がもてる。

 ツルマルボーイは巧みに外に持ち出さずに乗ったが、この馬は本質的に渋った馬場は不利。逃げたローエングリンは1000m通過60秒1。これでダンスインザムードや、アドマイヤグルーヴに差されては、A級の素質をみんなが認める馬だけに辛いものがある。いつからこの程度の馬になってしまったのだろう。テレグノシスは距離ではなく、外に出した時点でアウトだった。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング