人気のゼンノロブロイの勝利は、これは衆目の一致する支持通りで、ちょっと世代レベルに物足りなさのある4歳馬とはいえ、今回は当面の相手とされた5〜6歳馬も、さらには3歳馬も、決してそれぞれの世代のトップではないのだから、世代うんぬんではなかった。
ペリエ騎手もさすがで、外の13番枠ながら、少しずつインに入れ、勝負どころの3〜4コーナーでは内に入っていった。今年、明暗を分けたのはこのコース取りで、重馬場発表なのに水分の少ないのはイン寄りだけ。再三乗ったペリエは分かっていた。見た目よりも芝が良いと映る真ん中より外は、たっぷりと水分を含み、外に回った馬はどの馬も不発(最終12Rや、天皇賞、10Rなど、あまりに差が大きかった)。不思議な馬場の整備手法で、人気上位グループでは大外に出したテレグノシスや外のリンカーンなど、伸びるどころか差が広がる一方だった。内側だけ吸水処理をしたのではないか、そういう不信感さえ抱かせるあまりの馬場差に、少し後味の悪さが残った。
インぴったりを通ったダンスインザムード、アドマイヤグルーヴ、そしてこれを内ラチから離れなかったツルマルボーイが4着。ラチ沿いを逃げたローエングリンが5着。坂下で横に大きく広がったように見えたが、内の5頭だけが1〜5着だった。同じ18頭立ての12レースも、上位を占めたのは全部内枠の馬だけで、外枠の馬は(人気馬が多かったが)すべて圏外だった。
3歳牝馬ながら、あわやのダンスインザムードは、内枠の利を受けたとはいえ、これは立派。激しくイレ込んだ秋華賞とは異なり、中1週ながら今回は能力を出し切れた。ルメール騎手だからではないだろう。しかし、ペリエ=ルメールの1〜2着は、とりあえずの感想としても、あまりではないかとは思う。
アドマイヤグルーヴはマイナス12キロ。別馬のようにシャープだった。これは能力通りで見事。もっと強くなる期待がもてる。
ツルマルボーイは巧みに外に持ち出さずに乗ったが、この馬は本質的に渋った馬場は不利。逃げたローエングリンは1000m通過60秒1。これでダンスインザムードや、アドマイヤグルーヴに差されては、A級の素質をみんなが認める馬だけに辛いものがある。いつからこの程度の馬になってしまったのだろう。テレグノシスは距離ではなく、外に出した時点でアウトだった。