スローペースになる公算大と考えていたが、流れはスローペースにはならなかった。マグナーテンの作った流れは前半1000m通過59.6秒、中間の1200mが1分11秒4、後半の1200mが1分12秒8、コスモバルク以下は少し離れて追走したから、勝ったゼンノロブロイには絶好の平均ペースだった。
無理のない流れの中、コスモバルクが前にいるだけで、他の有力馬はみんなゼンノロブロイより後方。3角からラップの落ちた流れもロブロイに味方し、4角手前ではもう抜け出すタイミングを計るだけ。崩れない強みがフルに活きた。
天皇賞時より落ち着き払った気配も良く、勝ちっぷりも一枚上。これなら有馬記念に向けて反動や消耗の心配もない。
コスモバルクは離れた2番手で、横に他馬のいない理想の展開。この形なら五十嵐騎手でも十分に折り合えたと思えるが、ルメールもさすがだった。厳しいレースの連続で有馬記念に活力が残っているか、こちらは少し心配だが、ルメールでジャパンCを勝つより、五十嵐冬樹とのコンビで有馬記念の方が絵になる。そういうタイプにすでに育ってしまっている。
デルタブルースは本当はもう少し早めに動きたかったのだろうが、それでも菊花賞時よりシャープになっている。こちらも有馬記念タイプだろう。確実に力量アップしている。
期待したハイアーゲームも、ハーツクライ、ホオキパウェーブは動けなかった。ハイアーゲームは出遅れた上、ずっとインコースを通ったが、この馬、ストライドが不安定なので外に出さないと持ち味が活きない。これはミルコに伝えるべきだったのだろう。
菊花賞の時にも感じたが、今年の3歳馬、ダービーで快時計で上位に好走した馬ほどその後が良くない。