勝ったゼンノロブロイは05年、“キングジョージ”を中心の海外遠征を決め、O.ペリエ騎手も大賛成だという。より強い相手に挑戦しようとするチャンピオンに、さらなる前進を期待しよう。有馬記念はときに、最後のおまけの1戦だったりすることもあるが、来春への大きな展望となる年度締めの1戦こそ、ファンにとって最も理想とするところだ。
そのゼンノロブロイ(ペリエ)に、「本当のライバルはこの1頭」、そんな形でマークされてしまったが、タップダンスシチーの底力、99%までは自身が更新したことにもなる2分29秒5のパワフルなスピードも見事だった。タップダンスシチーが主導権を握りレースを進めていったが、コスモバルク陣営は、このタップダンスシチーのごまかしを許さない、チャンピオンとしての誇りあるレース運びを学ぶべきだろう。逃げるとか、差すとかは、実はレベルの低い馬が考えることで、シンボリルドルフも、サイレンススズカも、本物になってからは自分でレースを作った。
今アメリカはもちろん、ヨーロッパでさえスピード化が進み、前半置かれるのを良しとしない。今回のゼンノロブロイとて、タップダンスシチーと共にレースを主導している。だからレコードで、誰もついてこれなかった。競馬もまた、もう前近代の駆け引きのスポーツではないのだ。
タップダンスシチーには、有馬記念に5回も出走し、3、4、3、1、1着の記録を作ったスピードシンボリを目指してもらおう。凱旋門賞にも再度トライしたい。これも、現在の海外遠征の道を開いたスピードシンボリと同じだ。たまたまだが、種牡馬ビジネスの世界で、そう大成功するとも思えない、個性の固まりだ。
3着シルクフェイマス、4着ダイタクバートラム、5着デルタブルースも、ごまかしの利かないレベルの競馬になったため、能力通りの好走、善戦と考えたい。
コスモバルクはチャカついたのと、覇気がなく、最初からレースに参加させてもらえなかった。大井滞在や、異なる遠征の形が合わなかったのだろう。体は増えても、小さく見えた。立て直そう。
来年も、その次の年もまた、みんなコスモバルクを応援し続けるだろう。この馬の場合もまた、展望は未来へと続いた。