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きさらぎ賞

  • 2005年02月14日(月) 12時43分
 この時期の3歳戦に対してはどうしても視点が厳しくなってしまう。展望がクラシックにあるからで、これは仕方がないだろう。特に今年の場合は、衆目の一致する候補のディープインパクトや、強い勝ち方をしたストーミーカフェを基準にして考えたくなるからなおさらだ。

 3連勝となったコンゴウリキシオーは今回、意識的に押さえる作戦。それで結果を出したのだから、これは立派。前半1000m通過61.5秒のスローペースに折り合って進むこともできた。それで上がり34.5秒でまとめ後続を封じたから文句なしなのだが、迫力と爆発力はもう一歩だった。少しジリ脚の危険がある。凡走はしないタイプだろうが、豊かなスケールという点には何か足りない気もする。

 人気のアドマイヤフジと、シックスセンスは今回勝ち味の遅さをカバーするため、さらにはキチッと答えを出すため意欲的に追って体を絞ってきた。だが、位置取りとかペースではなく、自分で積極的に動いて行くことができない。直線は共に外に出し力強く伸びてきたが、ここ2、3戦と同じで届かずじまい。もう善戦では意味の乏しい3歳クラシック戦線の勝ち抜きのトーナメントであることを考えると、ちょっと厳しいようだが、はっきり脱落だろう。

 今年のきさらぎ賞、やや平凡な勝ち時計が示すように決してレースレベルは高くなかった。5着までがほぼ横一線の0.2秒差。こんなにクラシック候補がいるわけもなく、そういう意味でも、勝ったコンゴウリキシオーはともかく、負けたグループは評価を下げざるを得ない。

 そのコンゴウリキシオーは、新馬戦でディープインパクトに完敗しているのだからなおさらだろう。

 ダイヤモンドSは大波乱。ハンデ戦の長丁場だからありえる結果で、軽量51キロで勝ったウイングランツも、52キロで2着のハイフレンドトライも見事なものだが、人気で凡走したグループが余りに情けなかった。東京の長距離戦は難しく、荒れるというのがずっと昔からの伝統だったが、長距離のレースが少なくなったため、スタミナ能力に的を絞って攻める考え方を忘れていた。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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