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クラスが下がって自在の先行力が生きる/安達太良S

  • 2017年07月14日(金) 18時00分


◆母方が日本を代表するダート巧者の一族

 オープンから降格に相当する4歳馬は2頭だけ。上昇カーブに乗る馬が少ない組み合わせなので、エネスクコスモカナディアンの評価は大きく下げられない。

 エネスクの父はフランス産のベーカバド(10歳、その父ケープクロス。母の父クリス)。ベーカバドは、C.ルメール騎手を主戦ジョッキーとして、ニエル賞1着、パリ大賞(このときはG.モッセ)1着、ワークフォースの勝った凱旋門賞4着、米BCターフ3着など【6-1-2-2】。

 芝コース専門だったが、ここまでの産駒は公営の地域重賞勝ち馬、交流重賞の2着、3着馬など、大半がダートでの活躍馬ばかり。芝では1000万下の勝ち馬を送るにとどまっている。

 まだ4歳世代が初年度産駒なので軽々しいことはいえないが、欧州血脈の濃い種牡馬だけに芝の上級クラスではスピードもう一歩なのだろう。ダート巧者というわけではないように思える。

 エネスクは、しかし、母方が日本を代表するダート巧者の一族。祖母は女傑ロジータ(父ミルジョージ)。カネツフルーヴ、レギュラーメンバーの牝系である。

 エネスクはここまでダート専門に【4-2-1-9】。前回のブリリアントSはミツバの6着(1秒1差)にとどまったが、1000万→1600万を連勝して格上がりの初のオープン特別。距離2100mも初めてだった。

 前半1000m通過60秒7-(6秒7)-後半62秒9の速めの厳しい流れを好位での追走になったところに、後続の差し馬が4コーナーを回って一気に殺到したから、飲み込まれての1秒1差は初の古馬オープンとすれば善戦好走に近い。4着ラニとは0秒2差だった。

 今度はクラスが下がって、得意の右回り。全連対6回が1600-1800mなので距離もベストに近い。自在の先行力が生きる。好調クインズサターン、復調気配のクロフネビームス、降格のコスモカナディアン、福島向きのクラシックメタルの4頭が相手の本線。キングストーントゥルーウインドも少し買いたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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