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弥生賞

  • 2005年03月07日(月) 13時02分
 ディープインパクトが着差以上の完勝劇だったことは間違いない、弥生賞の2000m。例年通りこのレースの分析が皐月賞、さらにはダービーへの最大の鍵になるだろう。

 ディープインパクトは馬体重以上に大きく見せる体で、特にトモのバネを感じさせる丸みがいい。本馬場に出て少しカリカリし始め、武豊騎手が大レースの主役の馬に科すことの多い、スタンド前をゆっくり歩くこと、スタンドのファンの近くを歩かせても平然として見せること。この課題はクリアできなかったが、初コースにしては落ち着いていたほうだろう。

 スタートも前2戦より良かった。相手の出方を見て下げ、十分に折り合うこともできた。スパートのタイミングもこれも予定通りで、楽々外からまくってラップを上げることができた。坂で少しささったように見えたが、パトロールテープを見ると内に寄ってはいない。

 ゴール寸前、内からアドマイヤジャパンが来た時も、これを見ながらムチを入れるでもなく、ディープインパクトには余力がある感じだった。期待通り、あるいはそれ以上の完勝だったといえるだろう。

 ただ、いかにも名門の良血の「お坊ちゃま」のムードでやけに上品すぎる。ここまでは才能だけで突破できたが、他を圧する迫力、強烈なインパクトはなかった気がしないでもない。

 ビッグレースの18頭立て、隣に大きな馬がいて寄って来た時、あるいはインを引いて揉まれる形になった時など、課題はあるだろう。また、この馬は才能に溢れる良血馬に見られるように、厳しく鍛え始めたからといって強くなる馬ではないという印象も残った。奥はない危険もありそうだ。

 アドマイヤジャパンはやはり良馬場の方がずっと良かった。インを突いたとはいえ、力強く伸びてクビ差だけ。展開は大きく開けた。

 マイネルレコルトはギリギリの仕上げで体も寂しく見え、レースでは掛かってしまった。もう気楽な立場に立てるだろう、正攻法ではなく思い切ってためるなど、違う戦法が取れるだろう。距離不安や早熟の死角はない。改めて挑戦者の側に回りたい。ムキにならないほうがいいだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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