勝ったラインクラフトは、これで距離1400mで3度目の1分21秒台。例年のステップレースの勝ち馬を確実に上回っている。今回の1分21秒2はレースレコードだった。本番に向けての視界はきわめて良好といえる。
なおかつ今回は、休み明けで少し余裕を残した作り。パドックでも仕上がり絶好という気配でもなかった。レースでも上位を占めた有力馬の中ではもっとも苦しいレースをしている。道中は心持ち置かれ気味。勝負どころの4コーナー手前では、外からディアデラノビアにかぶされる形で、直線に向いてディアデラノビアが抜けかけたあと、その外に持ち出している。ここで慌てなかったのは、トライアルだからの余裕だろうが、それで他の有力馬をまとめて差し切ったのだから立派だ。
同じエンドスウィープ産駒では、昨年のスイープトウショウより確実に一枚上のスケールと、総合力がある。
異例の連闘策に出たディアデラノビアは、予定通りに外に回って差す形を取り、ほぼ能力を出し切っただろう。それで、白梅賞では問題にしなかったエアメサイアに差し負け、ラインクラフトにねじ伏せられたのだから仕方がない。もしこれで写真で3着に踏みとどまり出走権を得たとしても、もう本番での上積みは望めないローテーションだった。
2着のデアリングハートは、好位から巧みにインに突っ込んだ好騎乗。減り続けていた馬体も少し戻っていた。12月のジュベナイルFを0.3秒差の馬だから、このくらいは走って納得だろう。本番では落ち着きが欲しい。
3着エアメサイアは、流れに乗ってうまく外に出し完璧なレース運びで、かつ、現時点での力は100%出し切った感がある。一応は本番でも有力の1頭だが、武豊騎手が引き続いて乗るのか、それとも豊騎手はライラプスの方に乗るのかに興味がある。