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桜花賞

  • 2005年04月11日(月) 13時04分
 勝ったラインクラフトは好スタートから外枠のロスを最小限にとどめ、溢れるスピード能力をフルに活かし切った。アタマ差の2着シーザリオは、総合力で2着に力強く押し上げて、あと一歩まで追い詰めた。有力候補が溢れ、人気は大きく割れたが、トップグループのレベルは極めて高く、勝ち時計は1分33秒5のレコード。だから、もたらされた結果はファンの支持通りだったともいえる。

 ラインクラフトは、1400mを毎回1分21秒台前半で乗り切る断然のスピードがあったから、スタート直後は「馬の行く気にまかせ」、無理なく好位にとりつけた。好ダッシュが外枠のロスを防いだと同時に、馬の能力を信じた福永騎手の気負いを感じさせないスムーズなレースの運び方が目立った。外枠を引いたことで、12月の阪神JFや前走のフィリーズレビューのように、馬込みに入れてタメなくては…の折り合いを考える必要がなかった。

 飛び抜けた好馬体を誇るシーザリオは、多頭数だから当然だが、スムーズに好位追走とはいかず、予定していた位置取りより後方。もまれでインに押し込められている。4コーナー手前でもスパートしかかって一旦控えるロスがあった。しかし、鞍上の吉田稔騎手はさすが。あわてふためいたりすることなく、最後は馬群を割って一気に伸び、あと一完歩だった。

 当然、ゴール寸前の印象は、距離が延びるオークスでは…だが、ちょっとデキが良すぎて今がピークだった危険も少しある。オークスまでの調整は意外に難しいかも知れない。

 デアリングハートは、今季不振のデムーロ騎手だったが、ここ一番ではさすが。能力をフルに引き出してみせた。先行して1分33秒6なのだから、上位の2頭が強すぎた。

 エアメサイアは外々を回されるロスがあったものの、平均ペース型の走法で、こちらははっきりオークス向きだろう。6頭出走の関東馬はみんな2ケタ着順。力の差というより、G1に挑戦する気迫の騎乗がなかった気もする。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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