◆キタサンブラックの直後に取りつく積極騎乗を期待
かつてと異なり、世代交代の早くなった近年は若い馬の成績がいい。頭数が増えたグレード制成立の1984年以降の33年間、もっとも勝率と連対率が高いのは3歳馬の【13-11-8-87】であり、4歳馬がこれに続き、人気のキタサンブラック、シュヴァルグラン、ミッキークイーン、ヤマカツエースなどの5歳馬は、3歳馬より出走数は多いのに【8-4-10-102】にとどまる。5歳=5歳という組み合わせは、かなり可能性が低い危険がある。
3歳スワーヴリチャードは、皐月賞では若さを出して馬群に突っ込めず、外に振られて6着(0秒4差)、日本ダービーではあと一歩の鋭さを欠いて2着(0秒1差の勝ち馬レイデオロはジャパンC2着)だったが、再鍛錬したこの秋は格段にパワー強化中。
AR共和国杯の2分30秒0はコースレコードと0秒4差だった。それも楽な脚いろであり、2400mに換算するなら、今年のジャパンCの2分23秒7に少しも見劣らない。
皐月賞の内容から、右回りうんぬんを言われるが、まだ5戦目で若すぎただけ。心配ない。中2週のジャパンCをパスしたのも、他馬との兼ね合いの結果。結局、ミルコ・デムーロの騎乗に落ち着いたから、消耗なしのローテーションに繋がった。
そのデムーロは、今年も予測されるスローになった2010年、3歳ヴィクトワールピサを向こう正面で早めに進出させ、人気のブエナビスタの追撃を封じている。ここはキタサンブラックの直後に早めに取りついて、早めのスパートに出てくれる積極騎乗に期待したい。
天皇賞・秋、ジャパンCを連続して快走したキタサンブラックなどの死角を考えるのは、シーズン最後の有馬記念だけに必要な検討要素ではあるが、避けては通れないものの、マイナス思考はグランプリにあまりふさわしくない。大きく取り上げることではないだろう。
パワーアップして鋭さを加え、大きく成長したスワーヴリチャードが、55キロの利を生かし、自身の能力で有馬記念を勝ち負けすることを期待したい。
天皇賞・秋→ジャパンCと連戦したが、天皇賞・秋の疲れがあったジャパンCは最初からムリをしていなかったサトノクラウンは怖い。
また、良化途上だったシャケトラも消耗するようなレースをしていないから、中山2500mに変わって要注意。春の日経賞2分32秒8の内容にあと少しのプラスが加わると十分に通用するはずである。