勝ったディアデラノビアから、7着のヤマニンアリエルまで0.2秒の小差。特に、5着パーフェクトマッチまではクビ、クビ、アタマ、アタマの差。5頭もが横に並んだ形は、1983年のダイナカールのオークスを連想させた。
大接戦になったのは、61.4-60.4秒の前後半になったスローな流れで、直線の入り口でほぼ一団。最後の3ハロンだけ(11.7-11.3-11.7秒)の勝負に持ち込まれたことにある。この形は切れ味の優劣であると同時に、いわゆる「能力の差」が出ることも多い。
勝ったディアデラノビアは、外の15番枠もあって好スタートながらタメる作戦。最後は大外に出す形になった。馬群に詰まったりせず、スムーズに加速できたのは確かだが、2戦目の白梅賞(上がり34.0秒)で見せたのと同じ、強烈な決め手で鮮やかに差し切った。連闘までして桜花賞出走にこだわった馬だが、体型より距離適性の幅は広そうで、小柄な馬体ながらタフ。連闘後の反動がなかった。
オークスも展望できる立場に立ったが、問題は騎手。同馬の切れをフルに生かす技術を持った騎手でないと、東京2400mは苦しい。武豊騎手にはエアメサイアがいる。難しくなりそうだ。
2着のレースパイロットは、理想の好位のイン3番手追走。もっとも恵まれた位置にいたが、力強く抜け出すまでに至らなかった。通ったコースを考えると、ディアデラノビアには完敗ともいえる。自在性があり2400m向きは確かだが、フットワークに兄キングカメハメハのような柔軟性がなく、体も硬い印象を受ける。まず本番でも凡走はなさそうだが、有力馬まではいかないだろう。切れ味に欠ける。
伏兵アスピリンスノーが粘りに粘り、二の脚を使って3着。さすが良血馬という可能性を見せたが、体はギリギリ。距離延長は歓迎ではないだろう。ピサノグラフも追っての切れがいま一歩。インで詰まったが、最後は内は開いていた。パーフェクトマッチは0.1秒差。伸びてはいたが、馬体に余裕がなかった。