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有力馬の上位ランクに入るのだろうか/京成杯

  • 2018年01月15日(月) 18時00分


◆印象はタイムフライヤーの方が一枚も二枚も上手

 1番人気のジェネラーレウーノ(父スクリーンヒーロー)が2番手から楽に抜け出し、2分01秒2(Cコース)の好時計(最近10年の京成杯では第4位)で快勝。通算成績を4戦【3-0-1-0】とし、皐月賞に出走可能な賞金レベルを楽に突破した。

 2週前に同じ中山2000mのGI「ホープフルS」を1番人気で豪快に追い込んで勝ったタイムフライヤー(父ハーツクライ)は、2分01秒4(Aコース)だった。通算成績5戦【3-2-0-0】である。

 2歳戦を終えた時点で、牡馬のクラシックの有力馬としての多くのランキング(それぞれあくまで主観的なもの)で、タイムフライヤーは、ダノンプレミアム(父ディープインパクト)、ワグネリアン(父ディープインパクト)などと並んで、現在だいたいベスト3に入るくらいの評価を受けている。では、同じ中山2000mをほぼ同じような時計で快勝したジェネラーレウーノは、果たして上位ランクに入るのだろうか。また、タイムフライヤーと比べてのランキングで大丈夫なのだろうか。

 まったく主観的であっても、印象が薄れないうちにおおよその目安をつけておいた方がいいかもしれない。というのは、ジェネラーレウーノ陣営は、放牧(民間トレセンでのオーバーホールと再鍛錬)に出たあと「皐月賞に直行する予定」であることを表明しているからである。

重賞レース回顧

優勝したジェネラーレウーノは皐月賞に直行する予定(撮影:下野雄規)


 京成杯のレース全体は、逃げ馬がいたため、「59秒7-61秒5」=2分01秒2(レース上がり37秒0)。

 一方、ホープフルSもレース全体は、「59秒6-61秒8」=2分01秒4(レース上がり36秒9)であり、2つのレースはA、Cコースの違いはあってもレースレベルとしては、ほとんど明確な差はない可能性がある。

 ポイントは、先行したジェネラーレウーノと、後方一気のタイムフライヤーはまったく対照的なレースをしたから、比較が非常に難しいこと。

 コンマ1〜2の差を容認してもらうと、京成杯を勝ったジェネラーレウーノ自身の刻んだラップは、前半「12秒5-10秒8-12秒7-11秒9-12秒7」=60秒6 後半「12秒3-12秒0-12秒3-11秒8-12秒2」=60秒6だった。

 一方、ホープフルSのタイムフライヤー自身のラップは、前半「13秒5-11秒0-12秒8-11秒9-12秒0」=61秒2 後半「12秒3-12秒4-12秒2-11秒2-12秒1」=60秒2に限りなく近い。

 全体バランスなら、ジェネラーレウーノ。NO.1のダッシュから、行きたい伏兵に行かせ、自身の前後半は少しの乱れもなく、スパートを待っていた残り400mからは推定11秒8。一気に加速して勝負を決めている。タイムフライヤーの上がりは「35秒5-12秒1」。それと比較すると、上がり「36秒3-12秒2」はちょっと平凡に映るものの、4コーナー手前からの加速は素晴らしかった。流れに乗ってどんなレースもできそうである。

 タイムフライヤーは、勝ちタイムでは0秒2見劣るが、それは位置取りが極端に後方だったため。そのため自身の前後半1000mに1秒0もの差が生じてしまったが、印象は、上がり35秒5で一気のスパートを決めたタイムフライヤーの勝ちっぷりの方が一枚も二枚も上に思える。

 しかし、本当にそうなのだろうか。たまたまの一致だが、2着に突っ込んできたコズミックフォース(父キングカメハメハ)は、ホープフルSを快勝したタイムフライヤーの上がり「35秒5」とほとんど同じ「35秒4」であり、スパートのタイミングが異なるため、勝負を決してからのタイムフライヤーの最終1ハロンが12秒1であるのに対し、コズミックフォースの最終1ハロンは「11秒6」前後である。

 注目すべきは、同じような時計で勝ったタイムフライヤーと、ジェネラーウーノの比較を試みていたが、実は、衝撃的な爆発力に映ったタイムフライヤーの勝ちっぷりと、そっくり同様の「2分01秒3(上がり35秒4)」で突っ込んできたコズミックフォースは、脚の使いどころしだいでタイムフライヤーと同じような能力があることを示したのではないか、という点である。ジェネラーレウーノの評価が上がらないと、つれてコズミックフォースのランキングも上がらないが、同じ時計で乗り切り、同じ上がりを記録したタイムフライヤーと、コズミックフォース【1-1-1-0】は、1月の時点では同じような可能性を示した可能性があるのである。

 で、名前の出た3頭を、タイムフライヤーが現時点で多くのランキングで高い評価を得ているので、比較の対象にしたが、本番の皐月賞は「1分58秒2→1分57秒9→1分57秒8」が最近3年間タイムであることを考えたい。放牧に出るジェネラーレウーノは、休み明けで今回より約「3秒前後」も速い時計で乗り切れるのだろうか。

 さらに、印象度はともかく、ジェネラーレウーノと実際にはあまり能力差がありそうもないタイムフライヤーとさらにはコズミックフォースも、あと3カ月のちの本番を1分58秒0前後で乗り切れる馬に成長してくれるスピード能力を秘めている候補なのだろうか。京成杯のレベルは必ずしも高くない、とするのが妥当と思えるが、すると、印象度やG1のランクは別に、ホープフルSのレベルも思われているほど高くない危険が生じた気がしてきたのである。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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