スマートフォン版へ

NHKマイルC

  • 2005年05月09日(月) 11時53分
 牝馬の桜花賞組、男馬の皐月賞組、そして最初からニュージーランドT→NHKマイルCを目指した組が合わさり、興味あふれる対戦となったが、意外にあっけない結末。スタンドのファンの盛り上がりも一歩だった。

 勝ったラインクラフト、桜花賞と同じように2着したデアリングハートは、これは文句なしの内容で立派。正攻法の先行策でスムーズに、かつストレートに力を出し切っている。

 レースの流れは47.4−46.2秒。1000m通過は59.2秒の超スロー。逃げ一手では苦しいとみたディープサマー、ビッグプラネットの牡馬2頭が下げたことにより、NHKマイルC史上でも例を見ないゆったりとしたペースになった。東京の1600mのG1の厳しさが言われすぎたこともあるのだろう。レースの流れは生き物とされるが、前日の3歳500万下の牝馬同士の7Rが46.3−48.4秒の流れだったから、前半の半マイルでG1の方が1秒近くも遅い。スローで悪いことはないが、オープン馬がこのペースでは行ったきりの結果になるのは目に見えている。前日のプリンシパルS(ダービートライアル)のあまりにも味気ないスローの凡戦を観たあとだけに、レースの迫力を著しく欠いたことは否定できない。

 牝馬の桜花賞組が正攻法のレースをしたのに対し、牡馬の先行型はあまりに非力。また有力馬は差し一手の注文のつくタイプだったことも、レースの迫力を欠いた大きな原因だった。自分でレースを作れない弱みがあるから、マイル戦のここへ回ってきた馬が多かったが、その1600mのG1が自分で動けない馬にもっと苦しい超スローになってしまった。

 今年、ちょっと以前にはメンバーの大半を占め、上位を独占した外国産馬がたった2頭だけに減っている。このことと、興味をそぐほどの異常なペースは直接には関係ないだろうが、1〜2着した桜花賞組以外、ちょっとレベルが低すぎたといえる。脚質うんぬんの問題ではなく、マイラーとしての資質で劣っていた。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング