スマートフォン版へ

「非常に注目していました」熱烈オファーを受けたイッテツ、来週豪へ

  • 2018年03月01日(木) 18時01分
ビクトリア競馬便り

▲「日本最速馬の1頭」と紹介されたイッテツが豪へ (2016年道頓堀S優勝時、(C)netkeiba.com)


(3月1日号 文=ポール・シムズ)

 オーストラリアのビクトリア州から、競馬にまつわる話題をお届けするのが、今日からスタートする、このコラムである。ビクトリアの競馬と言えば、世界的にもよく知られているのが、メルボルンのスプリング・カーニバルだが、秋のこの時季も毎週のように興味深い競馬が行われている。そんな中から今回は、日本生まれのスプリンターの活躍をお伝えする。

ウィーア厩舎の2頭が他馬を一蹴


 メルボルン市街にある3つの競馬場の1つ、コーフィールド競馬場で先週末(24日・土曜日)に3つのGI競走が行われた。

 まず、リトゥンバイが賞金総額150万豪ドルの2歳GIブルーダイヤモンドS(1200m)に優勝、続くスプリント戦のGIオークプレイト(1100m)は、ラシアンレヴォリューションが勝利した。

 そして、GIフューチュリティS(1400m)では、日本から移籍したブレイブスマッシュとトーセンスターダムの2頭が、見事にワンツーフィニッシュを飾り、スピードと能力の高さを披露した。ブレイブスマッシュにとっては、これがオーストラリアにおけるGI初制覇となり、オーストラリア競馬におけるトップクラスの実力の持ち主であることが証明された。

ビクトリア競馬便り

▲オーストラリアでのGI初制覇となったブレイブスマッシュ、その実力が証明された


 ブレイブスマッシュは、前走GICFオーアS(1400m)で、ゴドルフィン所有のハートネルの3着に敗れはしたが、その果敢な末脚が評価され、フューチュリティSでは1番人気となった。管理するダレン・ウィーア調教師は、昨年のブラックハートバートに続き、フューチュリティS2連覇を果たしたわけだ。

 一方、同厩舎のトーセンスターダムは、昨年のこのレースでブラックハートバートにハナ差及ばぬ2着に惜敗していたから、これで2年連続銀メダルに終わったことになる。

 ブレイブスマッシュの手綱を取ったチャンピオンジョッキーのクレイグ・ウィリアムズにとっては、ビクトリアにおける秋の「フェスティヴァル・オヴ・レーシング」開催における、2度目のGI制覇となった。と言うのも彼は、ブレイブスマッシュが3着に破れたGICFオーアSでは、ブレイブスマッシュではなく、勝ったハートネルの手綱をとっていたのである。

 ブレイブスマッシュの次走は、馬の様子次第ではあるが、3月10日にフレミントンで行われる「スーパーサタデー」に組まれた、GIレクサス・ニューマーケットH(1200m)になる予定だ。

 1874年に設立されたニューマーケットHは、2011年に無敗の女王ブラックキャビアも出走し優勝している。このレースにブレイブスマッシュが出走すれば、ラシアンレヴォリューションと同じく56.5kgというハンデを背負うことになる

 一方、トーセンスターダムは、3月17日にフレミントンで行われるGIIブレイミーS(1600m)へ向かう予定で、昨年パレンティノ(既に引退し種牡馬入りしている)でこのレースを制しているウィーア調教師は、2連覇を狙うことになる。

 昨シーズン後半のスプリングカーニヴァルで2つのGIを制しているトーセンスターダム、フューチュリティSで豪GI初勝利を挙げたブレイブスマッシュと、ウィーア厩舎所属の日本産馬による活躍が続いている。

ビクトリア競馬便り

▲トーセンスターダム、次走は3月17日にフレミントンで行われるGIIブレイミーSを予定


イッテツの活躍も大いに期待


 そのダレン・ウィーア厩舎には、来週、新たに日本からもう1頭の馬が移籍する。日本最速馬の1頭と紹介されたイッテツだ。

「この数カ月、イッテツに非常に注目していました」、そう語るのは、ブレイブスマッシュやトーセンスターダムを所有しているオーストラリアン・ブラッドストックのジャーミー・ロヴェット氏である。

「彼のスピードと高い能力は、来春に行われるジエベレストで大いにチャンスがあると感じています。レーシングクラブのメンバーの中には、昨年3着に好走したブレイブスマッシュに続いて、今年も愛馬をこのレースに出走させたいと強く願う人がおり、そんな皆さんの夢を実現するために、私たちはイッテツを購入しました」

 リーディング種牡馬インヴィンシブルスピリットを父に持つイッテツは、日本で26戦し、札幌競馬場で行われたUHB賞(1200m)など、6勝を挙げている。UHB賞の勝ち時計は1分07秒7だった。

 イッテツがこの時計でGIニューマーケットHを走れば、充分に勝利に手が届くことになる。過去6年のニューマーケットHで、これより速い時計をマークしたのは、1分07秒3で駆け抜けた2011年の勝ち馬ブラックキャビアしかいないのである。

1864年に創設された、オーストラリアのビクトリア州における競馬主催団体。メルボルンCなどの大競走が行われるフレミントン競馬場をはじめとした、ビクトリア州各地の競馬場で開催される競馬の運営・統括をしている。近年では日本調教馬の移籍も多数実現しており、日豪の関係に重要な役割を担っている。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング