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オークス

  • 2005年05月23日(月) 12時46分
 シーザリオ(父スペシャルウィーク)のズバ抜けた能力が浮き彫りになったオークスだった。自在の同馬は、フラワーCのように正攻法で好位につけると思えたが(陣営もそのつもり)、スタートがもう一歩。多頭数の内枠の怖いところで、出遅れというほどではないが他馬に前に入られ、外枠の馬がかぶせて出る形になり1コーナーでは後方4〜5番手。

 レースの流れは予想されたスローよりさらに遅く、レースの前後半は76.5-72.3秒で、差が4.2秒もある変則ペース。3コーナーすぎでもピッチは上がらず、最後だけ(11.5-10.9-12.0秒)の、直線3ハロンだけの競馬になってしまった。

 中団で巧みに折り合い、タイミングを計って抜け出したエアメサイアは必勝の形になり、上がり33.8秒でまとめている。これをマークするようになだめて進み、上がり33.7秒で伸びたディアデラノビアも文句なしの内容だろう。この2頭がスパートした4コーナー手前でも、まだ馬込みに入って他馬をさばけず、待つ形になったシーザリオは、ディアデラノビアの外に出すと、一直線に伸びて上がり33.3秒。切れ味で上回ったというより、スケールの違いだった。

 位置取りが悪くなったところで変に動かず、最後に能力の差を生かした福永騎手は立派だったが、たまたま出遅れ気味だったから今回は仕方ないが、こういうレースを繰り返してはいけない。負担がかかりすぎ、故障する危険が大きくなる。苦しいレースをさせてしまったということを、本人は十分すぎるほど分かっている。

 直線の爆発力、少し全体に細身に見えながらの迫力。まさにスペシャルウィークそのもの。これで2年目の産駒になる種牡馬「スペシャルウィーク」の可能性が一段と広がった。

 あまりに上がりが速くなりすぎ、伏兵と上位の差がゴール寸前に出てしまったが、あと一歩まで粘ったエイシンテンダーの逃げは、実はペースを落としすぎた。少しもったいない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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