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日本ダービー

  • 2005年05月30日(月) 12時40分
 強いとか速いとかではなく、まるで別の次元からきたスーパーホースの独走だった。単勝支持率73%強。日本ダービーでこんな支持を受ける馬は、これからも半永久的に出現しないだろう。また、それに応えて人々が想像していた以上の独走に持ち込んでしまうのだから、今年のダービーを観ることのできたファン、そしてディープインパクトを見ることのできた我々は、極めて幸せな競馬ファンというしかない。特別な馬だ。

 2分23秒3のタイレコードだったが、レースの流れ(72.2-71.3秒)や、ディープインパクトの上がり33.4-11.6秒だったことを考えると、中身は断然のダービーレコードに相当する。

 残されたラップを見ると、外を回ってスパート態勢に入った後半1000mを、ディープインパクトは推測「57秒台前半」でまとめている。追い込んだとか伸びたとかではなく、助走の前半を乗り切った後、レースの後半は全力疾走に入りスパートすると、それが後半の1000m、57.3-33.4-11.6秒。完璧に乗り、普通の年のダービーなら圧勝の2分24秒1で一度はリードを広げて見せたインティライミが、5馬身も離れてしまった。

 ディープインパクトを今年のメンバーと比較するのは、それは意味のないことで、歴代のダービー馬でもないだろう。この後、何年後かに出現するかもしれない、第2のディープインパクトのような「天才」との比較を待つだけだ。

 2着インティライミは見事。負けはしたが、普通の年ならこちらが独走にも近い圧勝だった。前半1分12秒2のダービーに相応しい、しかるべきペースで先導した伏兵の先行も立派で、今年のダービー、脇役に甘んじるしかなかった17頭も、みんな立派だった気がする。独特の舞うようなストライドのディープインパクトは、楽に見えて蹄には他馬以上の衝撃を与えているという。脚部不安などと無縁の馬であってほしいものだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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