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宝塚記念

  • 2005年06月27日(月) 13時13分
 昨年、ローエングリンが逃げ、3コーナーで一気にタップダンスシチーがかわして行った1400m通過は1分22秒9、1600m通過が1分35秒0だった。今年はコスモバルクの先導で、同じ中間地点の通過は1分23秒7-1分35秒4だった。では、今年の方が楽なペースでタップダンスシチーに負担はかからなかったかというと、そうではないだろう。

 今年、タップダンスシチーは向正面に入るとすぐ、逃げたコスモバルクにプレッシャーをかけるよう接近している。昨年は、離して逃げたローエングリン、2番手にいたホットシークレットにはかまわず、ロングスパート開始は3コーナーだった。昨年、1000mを過ぎたあと、1800m通過までの4ハロンは「48秒5」。今年、1000m通過後、4コーナーにさしかかるまでの4ハロンは「47秒6」。この、息を入れたい中間地点で約1秒もの差は大きい。まして、気分良く一定のペースを踏みはじめたコスモバルクに、早めに接近、併走状態が3ハロン近くも続いてしまった。昨年と比べ、表面上のラップは今年の方が少し遅いくらいだが、少しだけ息を入れたい中間地点で、全体の流れの中で最速の「3〜4ハロン」のラップが記録されている。コスモバルクが12着。タップダンスとほぼ同じ位置にいたビッグゴールドが13着、シルクフェイマス(昨年は粘って2着)が15着。先行したグループには、きわめてきつい形だった。

 3〜4着のゼンノロブロイ、リンカーンは、昨年より多少早めに動いた程度だったため、今年もそっくり同じ時計で乗り切って、昨年の4・3着が逆転しただけ。リンカーンもゼンノロブロイ(不利は小さなもの)も、昨年とまったく同じ能力を示したことを考えると、勝ったスイープトウショウはすごい。展開うんぬんではなく、中団から正攻法の競馬でゼンノロブロイ、タップダンスシチー以下をねじ伏せて勝ったことになる。強さの前面に出ない馬で、持ち味は「切れ」、「スピード」に集約されることが多いが、2200mでこの内容はとにかく見事だ。ハーツクライは、橋口=横山典コンビだと、どうしてこういう2着のシーンが再現されるのか、これはもうGIレースの七不思議に近い。

 ゼンノロブロイは、このあと英遠征。今回のレースは、たしかに勝負どころで詰まる不利があったが、それはレースだから仕方がない。他馬が邪魔をしたわけではない(インを狙えば当然のことだ)。イギリスでぜひ巻き返したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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