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ラジオたんぱ賞

  • 2005年07月04日(月) 12時54分
 勝ち時計は1分47秒2。平坦コース1800mのスピード決着のようだが、レースの中身はまるでそうではない。開催の後半になり、全体に少し時計がかかり始めた芝で、内を回るよりはある程度外に出した方がいい、そんな中での激しいレースだった。小回りの福島コースの、開催後半でなければありえない結果で、きわめて珍しいレースだったとも言える。

 上位3頭のうち、出遅れ気味だった馬が2頭。最初の1コーナーはもちろん、勝負どころの3コーナーにさしかかるまで、上位を占めた3頭は、最後方にいた3頭だった。

 1〜3着馬の通過順は、14・13・11、16・15・13、15・15・13であり、この1〜3着馬3頭は、最後の直線で一番外に出した3頭でもあった。

 コンラッドは、最初からHペースを読んで「控えるつもり」だったというが、ちょっと出負け気味。2着のトーセンロッキーも明らかにスタートで後手を踏んでいる。3着エイシンサリヴァンは最初から下げる作戦をとった。

 レースの流れは、前半34.5秒-46.5秒-58.5秒。開催の1週目なら楽な平均ペースのラップだろうが、後方に控えた3頭以外はほぼ一団で、息の入らない厳しいペース。すんなり先行できたときにのみ好成績を残してきたシルクネクサス(今回は差す形で4着だから立派だが)、トップガンジョー、ピカレスクコート、ダブルティンパニー、ピサノグラフなど、どの馬も自分の形に持ち込めなかった。1000m通過58.5秒の数字以上に(芝が荒れていたため)ペースは厳しく、なおかつ、先団の馬は絶えず競り合い、もまれる形だった。

 勝負どころの3角から大外を進出したコンラッド、つれて同じコースを進出したトーセンロッキー、その内から最後は外の2頭の間に入れたエイシンサリヴァン。追い込み策を決め込んだ3頭だけが「ツボ」にはまった、めったに見られない福島コース独特の結果だった。福島のファンが一番喜ぶ形でもある。

 朝の生中継。シーザリオはすごい。福永祐一も見事だ。ぶっちぎるとまでは思わなかった。スペシャルウィークの産駒は、体つきはその父になるサンデーサイレンスの真っ黒な馬体そのもので、早めに抜け出したレース運びまで「サンデーサイレンス」。

 やっと、アメリカのサンデーサイレンスのファンに、恩返しができた気がした。個人オーナーの馬ではないのもいい(会員はみんな今後の遠征にも大賛成だろうから)。シーザリオの世界はさらに広がるだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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