今季の福島は、梅雨時にしては珍しくほとんど雨が降らなかった。それもあって芝コースは最終日になっても、内側を通ると伸びない程度の良好な状態が保たれていた。
また今年の七夕賞は、力関係が比較的はっきりした組み合わせで、レースの流れも平穏。マルタカキラリーがかかり気味に1頭だけ飛ばし、1000m通過58.6秒だったが、事実上のペースメーカーは2番手のトーセンダンディで、前半1000m通過は60秒前後。他の有力馬は平均ペースで先行のトーセンダンディをつかまえ、捕らえさえすればいい形になった。
波乱の多いハンデ重賞としては、珍しく単調なレースになり、早めに進出して好位から抜け出したダイワレイダースが1番人気に応えて快勝した。26年間も勝ち切れなかった1番人気馬が勝ち(というより勝ってしまい)、名門松山厩舎もJRAでは6年振りの重賞制覇だった。
初距離の2000mを苦もなく克服、再三の長期休養をはさみながらやっと能力全開にこぎつけたダイワレイダース陣営は見事で、勝ち時計の2分00秒4も文句なしだろう。
波乱を期待したファンからすると、すんなり1番人気馬に順当に勝たれてしまって、やや大味なレースにとどまった感もあるが、こういう記録はいつかは途切れるもの。難しく荒れるローカルのハンデ重賞の伝説が消えたわけではない。
7歳トーセンダンディは、いつもの年と同じように夏場に向かって調子を上げてきたところで、すんなり(オールカマーと同じように)自分でハナを切っている形だった。3着グラスボンバー(3番人気)は、大事に乗ったが初の2000mとあって、強気に動けなかった。ラヴァリージェニオは期待したが、今回は当日の動きが硬かった。ユキノサンロイヤルは、まだ衰えたわけでもないが、元々そう毎回堅実に走る馬でもないから仕方がないだろう。