◆クイーンCのレースぶりから高い資質を秘めていると思えた
金曜日からの雨が、日曜日の芝コンディションにどのくらい影響するだろう。持ち直しても、スピードと切れ味最優先の芝ではないかもしれない。
10頭もそろったディープインパクト産駒は、雨の影響が残る芝コンディションだとみんな少し危ないが、その死角は承知でフィニフティに注目したい。
この夏以降、関屋記念のプリモシーン、短距離重賞で2着、3着、2着のラブカンプー、紫苑Sを圧勝したノームコアなど、春シーズンは期待のわりに物足りなかった3歳牝馬が大きく変わっている。予定通りのぶっつけで「秋華賞」に出走予定のアーモンドアイは別に、ほかのライバルは出走できても予定外の休み明けだったりする危険がある。ノームコア、プリモシーンにつづく秋の上昇馬候補の1頭が、フィニフティ(父ディープインパクト)。
2歳秋に新馬勝ちのあと、3カ月の休み明けで小差2着した2月の「クイーンC」は中身があった。先行して軽快なスピードをフルに発揮したテトラドラクマ(父ルーラーシップ)には及ばなかったものの、休み明け、初の遠征競馬、わずか2戦目で東京の1600mを1分33秒8で乗り切って0秒1差の2着。
馬群にもまれながら、みんなが苦しくなった坂上から割って抜け出て伸びた。上がり35秒9でしのぎきったテトラドラクマに対し、フィニフティの上がりは35秒0。完敗には違いないが、ローテーション、キャリアを考えれば勝ち馬と互角(あるいはそれ以上)の高い資質を秘めていると思えた。
桜花賞の12着(1秒4差)は、クイーンCの疲れもあったか出負けして最初からレースの流れに乗れず、まともにレースをしていないから基準外。秋に向けて入念に立て直してきた。
小柄な馬体は非力そうに映るが、タフな7歳牡馬ステファノス(GI競走2着3回など重賞レースの常連)の全妹。祖母はGI格の南部杯などダート8勝(芝1勝)のゴールドティアラ。思われているよりパンチを秘めている。クイーンCが示すように間隔の開いたローテーションは心配ない。また、クイーンCのレース運びから距離も1800〜2000mくらいが適距離と思える。
同じディープインパクト産駒のサトノワルキューレは、牝系が南米経由のファミリー。祖母はブラジルで勝ち、母はUSAと南アフリカで勝っている。ディープインパクト産駒の中ではたくましいタイプだろう。
スピード能力だけでなく、パワーが求められる芝向きはウラヌスチャーム(父ルーラーシップ)か。4戦連続してレースの最速上がりを記録しているが、実際のレース運びは力馬の印象がある。時計はかかったほうがいい。