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函館2歳S

  • 2005年08月08日(月) 12時44分
 画面を通してのパドックなので正確ではない部分も大だが、ゆったり見せて落ち着いていたモエレジーニアスに対し、断然の人気を集めていたアドマイヤカリブはずっとカリカリした状態。やけに落ち着きがなかった。

 2歳馬の、それも実戦を1戦したあとの調整は難しい。アドマイヤカリブ、チアズガディスなどは6月の中旬に勝ったあと、一旦牧場へ帰っての再入厩。最初から2歳Sに使うことを想定しての短期放牧で、放牧とはいいつつ再鍛錬に近い形の牧場でのトレーニングなのだが、今日思ったのは、まだキャリア1戦の2歳馬が、短期間にコロコロ場所を変えるのは大変なことだった。乗り手や担当者が変わり、インタビューで「牧場でも入念に乗っていた(らしい)ので、今週の一本で仕上がるはずです」などのコメントもやけに気にかかった。たまたまだが、札幌競馬場入りしているディープインパクトは、担当のスタッフを変えないため、放牧ではなくて、札幌競馬場でのオフシーズンだという。

 注目のアドマイヤカリブは好スタートから好位の外を追走。予定通りの位置だが、行きっぷりに余裕がなく、4コーナーで外からモエレジーニアス、ラッシュライフらに並びかけられる形も苦しかった。キャリアの差もあるが、追って伸びるタイプではなく、平均スピードを生かす馬かもしれない。上のイルデパンも追って味のあるタイプではなかった。

 モエレジーニアスは初芝の前走がインに突っ込んでの勝負強い勝ち方。今回は3戦のキャリアも生きたが、切れるというより、ねじ伏せた形のレースぶりは力強かった。五十嵐冬樹騎手の芝でのレース経験の豊かさや、勝負どころでのスパートのタイミングも絶好だった気がする。2歳戦はキャリアが何よりの強みのパターンが、ジーニアスには当てはまった。

 まだまだ各馬の評価は流動的で、負けたからといって評価の下がるわけではない馬もいるが、連闘で2着したラッシュライフは立派。ゴール前のストライドはこの馬が一番シャープだった。短距離スピード馬のようにみえる配合だが、母方はタフな成長力あふれる系統。距離は1600mぐらいまではOKだろう。メンバーの中でももっとも遅い5月17日生まれ。牝馬ながら480キロ台の馬体。かなり出世しそうだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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