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アメリカ血脈を継ぐアエロリット、米国G1へ 「故郷に錦を飾る」競馬を見せられるか

  • 2019年01月16日(水) 12時00分

2頭の日本産馬が参戦するペガサスワールドCターフ


 先週お届けしたG1ペガサスワールドC(d9F)に続き、今週は同じく1月26日にガルフストリームパークで行われるG1ペガサスワールドCターフ(芝9.5F)の展望をお届けしたい。

 ただし、この原稿を書いている15日現在で出否が確定していない馬もおり、最終的な出走メンバーは当該週に主催者から行われる発表でご確認いただきたい。

 日本から参戦するアエロリット(牝5、父クロフネ)にとって最大の敵となりそうなのが、同馬と同じ2014年に同じノーザンファームで生まれたヨシダ(牡5、父ハーツクライ)だ。15年のセレクトセール1歳部門でウィンスターファームの代理人に9400万円で購買され、W・モット厩舎からデビューした同馬は、4歳5月にチャーチルダウンズのG1ターフクラシック(芝9F)を制してG1初制覇。更に4歳9月には初ダートだったサラトガのG1ウッドウォードS(d9F)を制し、2つの路面でG1制覇を果たす快挙を成し遂げている。

 続くG1BCクラシック(d10F)で4着に健闘した後、G1ペガサスワールドCを目標にする旨のコメントが陣営から出ていたが、その後、ヨシダ同様にウィンスターファームが共同馬主となっている昨年のG1フロリダダービー(d9F)勝ち馬オーディブル(牡4、父イントゥミスチフ)のG1ペガサスワールドC出走確定したことから、芝も走れるヨシダはこちらに廻ることになった。

 15日の段階で同競走の前売りを開始している数少ないブックメーカーであるスカイベットは、ヨシダをオッズ3.5倍の1番人気に支持している。

 大手ブックメーカーがオッズ5倍前後でヨシダに続く2番人気に推しているのが、カタパルト(牡6、父キトゥンズジョイ)だ。

 4歳時まで東海岸のチャド・ブラウン厩舎に所属し、G2ボルティモアワシントン国際ターフC(芝8F)2着をはじめ、重賞入着を4度経験。昨シーズンから西海岸のジョン・サドラー厩舎所属となり、2戦目となったデルマーのG2エディーリードS(芝9F)で待望の重賞初制覇。続くG2デルマーマイル(芝8F)も連勝した後、チャーチルダウンズで行われたG1BCマイル(芝8F)でも、英国から遠征してきたエキスパートアイに次ぐ2着に健闘している。

 戦績からおわかりのように本質はマイラーで、9Fまではこなしている。9.5Fは未知の領域となるが、現在の充実ぶりから克服可能というのが一般的な見方である。

 オッズ7倍の4番人気タイが、ヨシダと同じくW・モットが管理するチャネルメイカー(セン5、父イングリッシュチャネル)である。

 カナダのオンタリオ産で、3歳時にはカナダ3歳3冠最終戦のブリーダーズS(芝12F)に優勝し、カナダにおける3歳牡馬チャンピオンの称号を獲得している。その後、G1ハリウッドダービー(芝9F)2着、G1フランクキルローマイル(芝8F)3着などを経て、それまでとは違う競馬を見せたのが、昨年7月にサラトガで行われたG2ボウリンググリーンS(芝11F)だった。後方待機から末脚を活かす競馬をしていた同馬が、ここでは前半から好位につけて直線で抜け出し、待望の重賞初制覇を果たしたのである。

 続くG1スウォードダンサーS(芝12F)が、2番手追走からそのまま2着となった後、ベルモントパークのG1ジョーハーシュターフクラシック(芝12F)では遂に自らハナに立つ競馬を見せ、そのまま逃げ切ってG1初制覇を果たした。ただし、続くG1BCターフ(芝12F)では、2番手追走から失速し11着に敗れている。

 カタパルトとは逆に、10F超の距離が本質なのがチャネルメイカーだが、時計の裏付けはある馬だ。

 このレースの創設が発表された当初から、50万ドルを払って出走枠の1つを買うことを表明していながら、実際にどの馬で参戦してくるのかがはっきりしなかった愛国のクールモアグループだが、どうやらマジックワンド(牝4、父ガリレオ)を差し向けてくることになるようだ。

 G1愛オークス(芝12F)勝ち馬チキータの半妹で、16年のアルカナ・ドーヴィル1歳市場にて最高価格の140万ユーロ(当時のレートで約1憶5960万円)で購買された同馬は、2歳10月にA・オブライエン厩舎からデビュー。3歳5月にLRチェシェアオークス(芝11F75y)で初勝利を挙げると、G1英オークス(芝12F6y)4着を挟んで、ロイヤルアスコットのG2リブルスデイルS(芝11F211y)で重賞初制覇。ただしその後はG1ばかり5戦し、G1ヴェルメイユ賞(芝12F)2着、G1オペラ賞(芝10F)2着、BCフィリー&メアターフ(芝11F)4着など、好走しながらもG1タイトルの奪取には成功していない。

 この他、昨年10月にキーンランドで行われたG1シャドウェルターフマイル(芝8F)の勝ち馬で、1月5日にサンタアニタで行われたG2サンガブリエルS(芝9F)で2度目の重賞制覇を果たしての参戦となるネクストシェアズ(セン6、父アーチアーチアーチ)、カナダのG2キングエドワードS(芝8F)勝ち馬で、G1フォースターデイヴH(芝8F)2着、G1ウッドバインマイル(芝8F)4着などの実績のあるデルタプリンス(牡6、父ストリートクライ)、昨年のG1スティーヴンフォスターS(d9F)勝ち馬で、前走は中京のG1チャンピオンズC(d1800m)に挑み15着に敗れたパヴェル(牡5、父クリエイティヴコーズ)らが、出走の構えを見せている。

 そんな中、スカイベットの前売りではオッズ4.5倍の2番人気タイとなっているのがアエロリットだ。

 同馬の3代母は、G1エイコーンS(d8F)など東海岸で4つのG1を制したステラマドリッドで、背景にあるのはアメリカ血脈である。

 そして同馬の父クロフネはそもそも、フロリダ州を開催地とするファシグティプトン2歳トレーニングセールで発掘されてきた馬だ。アエロリットのG1ペガサスワールドCターフ参戦は、血統面で言えば「里帰り」の色合いが濃いだけに、「故郷に錦を飾る」競馬を見せて欲しいものだ。

 そして、ヨシダと2頭で1・2フィニッシュを決めて、日本産馬の価値を更に押し上げる結果となることを期待したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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