タイムのかかる馬場なら、パワー兼備の追い込み型/根岸S
タフな芝のシルクロードSも、狙いはパワー型
今年のGI第一弾「フェブラリーS」の前哨戦。過去10年、根岸SをステップにフェブラリーSで馬券(3着以内30頭)に関係した馬は6頭にとどまる。
思われるほど強い結びつきはなく、その6頭の根岸Sの成績は「3,1,1,2,1,1」着。根岸Sを勝ち負けするくらいでないと、GIフェブラリーSでの好走はムリ、という関係を示している。
1分22秒0以内の速い時計をもつ馬が4頭もいるが、ほとんど降雨のない今年のダートは乾燥しているため(不凍液を使用するシーズンなので多量の散水はできない)、勝ちタイムは1分23秒0前後に落ち込む公算大。
JRAレコードの1分20秒3(中京不良)を持つ快速マテラスカイ(武豊)が大外の16番枠を引いてしまった。コース形態から決して有利ではなく、なだめながらゆっくりハナに立つのは難しい。最終的に全体のタイムがかかりそうなコンディションのわりに、厳しいペースだろう。少なくとも1400mなのに…とされる緩い流れはない。追って味のある差し馬、パワーの追い込み型が台頭する。
切れる差し馬は多いが、パワー兼備の追い込み馬サンライズノヴァ(父ゴールドアリュール)は、東京ダート1400〜1600m【6-3-0-2】。めったに崩れず、1400mに限れば昨年の根岸Sハナ差2着など【2-2-0-0】。うち3回を上がり3ハロン34秒台でまとめている。1分21秒5(重)の速い時計はあっても、快速タイプというよりは迫力のパワー型。3走前のグリーンチャンネルC快勝は1分23秒4(上がり35秒4)。あの内容が今季の乾いたダートOKを示している。また、一連の成績が示すように、別定57キロは他馬との比較上きわめて有利だ。
前回、残った数字以上に強烈な追い込みだったコパノキッキング、崩れなくなってきたユラノトが相手本線。先行タイプはマテラスカイ以下押えまで。
京都は今週からBコースになるが、少しタフな芝状態は変わらない。「シルクロードS」の推定勝ち時計は、雪が降らずに良馬場でも1分08 秒台中盤か。最大の伏兵はパワー兼備のリョーノテソーロ。出負けし、最後は詰まって脚を余すレースが続くが、3〜4走前は連続して上がり33秒台。前走も、上がり時計は勝ち馬を0秒1上回っている。
血統背景は、ストームキャットや、ミスタープロスペクター系種牡馬がパズルのように交錯するアメリカの快速系。母の父スペイツタウン(その父ゴーンウエスト)は、根岸Sのマテラスカイの父にも登場する。
父ジャスティンフィリップ(11歳)はまだ新進種牡馬だが、スペイツタウンも勝ったサラトガのダ6FのGIIを、GIに昇格後の13年に快勝して名を上げたストームキャット系。また出負けでは苦しいが、軽いハンデと、平坦の直線に狙いを定めた2度目の京都遠征。坂井瑠星騎手(21)のJRA初重賞制覇は、こういう可能性に満ちた新星かもしれない。