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例年以上の好メンバーが揃う中、古豪サウンドトゥルーは最高齢勝利なるか/ダイオライト記念

  • 2019年03月12日(火) 18時00分

新年度のダートグレード戦線を見据える興味深い戦い


 少しずつ春の訪れを感じる今日この頃。船橋競馬場では13日(水)、『第64回ダイオライト記念』が行われます。

 多くの名馬たちが制してきたこのレースは、2400mで争われる実力とスタミナが問われる戦い。今年はJRA勢・地方勢ともに例年以上の好メンバーが揃って、4月からの新年度に向け非常に重要な位置付けの一戦になりそうです。

 JRA勢4頭は実績ある7歳馬3頭と、将来有望な4歳馬1頭が参戦。まず、勢いある4歳馬・チュウワウィザードから見ていきましょう。

 チュウワウィザードは昨年12月、古馬相手に名古屋グランプリを制覇。2着ミツバ、3着グリムで、好走が続く「強い明け4歳世代」の1頭に躍り出ました。前走・東海Sでは逃げ粘るインティには2馬身届かなかったものの直線で伸びて2着。3着には7馬身差。インティのフェブラリーSでのパフォーマンスを考えると価値ある2着です。
 
 船橋コースは初めてですが、名古屋グランプリの走りから地方競馬への対応力にも不安はありません。更なる飛躍を目指すためにもここは大事な通過点になりそう。

「強い明け4歳世代」の1頭として期待したいチュウワウィザード(写真は18年名古屋グランプリ優勝時、撮影:高橋正和)


 昨年2着のアポロケンタッキー。近走はパッとしない成績が続いていますが、船橋コースに限って見ると3戦して【1-2-0-0】連対率100%。スパイラルカーブを採用している船橋コースは展開等の有利・不利を受けにくく、実力馬が自身の力を発揮しやすいと言われています。

 ダイオライト記念を3連覇したクリソライト(2015年、2016年、2017年)の例があるように、他場で不振が続いていても「船橋ならきっちり走る」ということも。2017年の日本テレビ盃以来、約1年半ぶりの勝利を得意のコースで挙げることができるか注目です。

得意のコースで力を発揮したいアポロケンタッキー(写真は19年川崎記念出走時、撮影:高橋正和)


 マーキュリーCを連覇(2017年、2018年)しているミツバ。名古屋グランプリではチュウワウィザードの2着に敗れましたが、前走・川崎記念を制覇。直線で前を行く人気馬2頭、ケイティブレイブとオールブラッシュの間を割っての勝利は力強いものでした。地方競馬の左回りコースで重賞3勝を挙げており、川崎記念に続く重賞連勝を狙います。

ミツバは川崎記念に続く重賞連勝を狙う(写真は19年川崎記念優勝時、撮影:高橋正和)


 オールブラッシュは2017年の川崎記念を制覇したのち、昨年11月の浦和記念を約1年10か月ぶりに勝利。前走・川崎記念は前述したミツバに差し切られ3着でしたが、2着ケイティブレイブとはアタマ差の接戦を演じました。

 船橋コースでは昨年のかしわ記念でゴールドドリームの2着があり、ここでも上位を狙える存在です。

オールブラッシュも上位を狙える存在(写真は18年浦和記念優勝時、撮影:高橋正和)


迎え撃つ地方勢たち


 JRA勢に対する地方勢の最有力候補はサウンドトゥルー。JRAのGIホースが昨年、JBCクラシックの後に船橋へ移籍し、大いに話題を集めました。地方所属となって初めて迎えた東京大賞典は4着。年明け初戦、2月の大井・金盃では断然の1番人気に応え、まだまだ衰え知らずの底力を見せてくれました。

 船橋コースはこれまで5戦して2015年の日本テレビ盃制覇を含む【1-1-2-1】。普段から調教でも走っている地元・船橋コースに移籍後は初登場。長い戦歴で戦ってきた相手を考えればここでは実力・実績ともにナンバーワンなのは周知の事実。

 もし9歳で制すれば、64回目を迎えるレース史上最高齢での勝利となります。果たして歴史に残る勝利を飾ることができるか、応援にも力が入ります。

地方勢の最有力候補であるサウンドトゥルー(写真は19年金盃優勝時、撮影:高橋正和)


 1月の報知オールスターCで昨年の羽田盃以来となる勝利を挙げた船橋のヤマノファイト。ホッカイドウ競馬時代も含めると重賞を6勝している南関東競馬期待の4歳馬。地元船橋コースは初参戦となりますが、目が離せない1頭です。

ヤマノファイトは南関東競馬期待の「明け4歳世代」(写真は19年報知オールスターC優勝時、撮影:高橋正和)


 強豪揃いのJRA勢4頭を相手にサウンドトゥルーがどこまで戦えるか? 4歳馬チュウワウィザードが世代交代を告げるのか? 昨年2着の船橋巧者アポロケンタッキーが制するのか? ミツバ、オールブラッシュ、ヤマノファイトらも上位争いに加わって高いレベルでの混戦模様。新年度のダートグレード戦線を見据える、興味深い戦いです。

 最後に、今年のダイオライト記念のポスターにもなっている船橋のアブクマポーロと石崎隆之騎手について少し触れておきましょう。

 アブクマポーロは1998年、ダイオライト記念がダートグレード競走に格付けされた年に勝利して、翌年1999年も連覇。これを最後に引退し、戦歴は32戦23勝【23-3-3-3】。かしわ記念、帝王賞、東京大賞典、川崎記念など数々のビッグレースを勝ち、東海ウインターS(現在の東海S)も制するなどJRAでも結果を出した、記憶にも記録にも残る地方競馬のチャンピオンホースです。

アブクマポーロと石崎隆之騎手(写真は98年ダイオライト記念優勝時、撮影:高橋正和)


 そしてその数々の戦いの手綱を握っていた石崎隆之騎手(63歳)の引退が、先日発表されました。

 石崎隆之騎手はアブクマポーロ、トーシンブリザード、セレンらとともに多くの重賞を制覇。さらにNARグランプリ最優秀騎手賞を13年連続で受賞(1990年〜2002年)。1994年には地方競馬の騎手として初めてワールドスーパージョッキーズシリーズを優勝。2009年には通算6000勝を達成するなど数々の金字塔を打ち立てています。

 11日(月)からの開催期間中、場内が石崎隆之騎手の服色で装飾されるという船橋競馬場。さらに開催最終日となる15日(金)には「引退セレモニー」をはじめ様々な関連イベントも予定されています。可能な方はぜひ現地に足をお運びください!

※次回の更新は3月13日(水)18時。翌日に名古屋競馬場で行われる「名古屋大賞典」のコラムをお届けします。

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埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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