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平成から令和へと移る最後の大一番

  • 2019年04月27日(土) 12時00分

平成最後の春の天皇賞は4歳馬がカギを握る


 平成から令和へ元号が変わるとき、この春の天皇賞が区切りのGI競走となり、改めて時代を振り返ると、どうしても、日本の競馬の大きさな変化に触れなければならない。その顕著な例として、大種牡馬サンデーサイレンスの存在をあげるのが当然で、初年度産駒が平成6年にデビューし、2年目から13年間もリーディングサイアーを獲得した。春の天皇賞でもここ9年連続、勝ち馬の父系、母系にサンデーサイレンスの血が入っている。

 そのサンデーサイレンスの最高傑作がディープインパクトになるのだが、この平成が生んだ名馬は、三冠馬に輝やいた翌年の平成18年に春の天皇賞をレコードで勝っていた。それまでの長距離戦と言えば、ナリタブライアンやメジロマックイーンのように力でねじ伏せる強さが目立っていたが、ディープインパクトはかろやかな強さで、サンデーサイレンスのスピードを受け継いでいた。これこそ、日本の競馬を進化させた原動力と言っていい。

 種牡馬となってからのディープインパクトも、その優れた血統が生きて産駒はビッグタイトルをものにしてきたが、ところが春の天皇賞だけはまだ勝てていない。菊花賞馬は出しているので時間の問題かもしれないが、時が時だけに、注目しておきたい。

 父サンデーサイレンスと並んで春の天皇賞馬を4頭も出しているステイゴールドも、平成を飾る種牡馬だった。現役時代は春の天皇賞に3度挑んで、平成10年の2着が一番いい成績だった。国内のGIでは2着4回でシルバーコレクターと呼ばれたが、産駒は、フェノーメノの2勝、ゴールドシップ、レインボーラインと息の長い末脚で春の天皇賞馬になっている。尻上がりに強くなっていくステイヤーを輩出してきた実績は、やはり興味がわく。平成から令和へと移る最後の大一番だけに、記憶に残るレースを期待したい。

 ところで、ひと昔前、平成に移る昭和最後の春の天皇賞がどうであったか思い出してみた。この昭和63年は、4歳馬タマモクロスが、南井騎手51度目のGI挑戦で栄光をものにしていた。阪神大賞典に次ぐ6連勝だったが、秋の天皇賞ではオグリキャップとの芦毛対決で話題を集めて、8連勝で春秋連覇を飾っていた。

 どうやら平成最後の春の天皇賞は、4歳馬がカギを握っているようだが。なにか、次を予感できることがあればと思う。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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