スマートフォン版へ

「トレーニングセール2019」セリ当日

  • 2019年05月30日(木) 18時00分

依然として高い即戦力需要の一方で、価格の伸び悩みも


生産地便り

トレーニングセール会場の様子


 前回に続き、5月21日に開催されたトレーニングセールのセリ当日について記す。この日は朝から不安定な空模様に見舞われ、時折雨の降るあいにくの天候となった。セリ開始は前日の公開調教よりも早い午前9時半。主催者を代表して日高軽種馬農協・木村貢組合長の挨拶の後、さっそくセリが始まった。

 会場は例年と比較すると空席がやや多く、熱気が漲るというほどの雰囲気ではない。落ち着いたムードの中、価格も比較的安めに推移し、1000万円を超えると「高い」と感じられるほどであった。

 この日、上場されたのは前年比6頭増の234頭(牡147頭、牝87頭)で、落札は前年比11頭増の167頭(牡101頭、牝61頭)。売却率は69.23%と、前年よりも3%増加した。

 ただ、売り上げ総額は11億4890万4000円(税込)。前年比2095万200円の減少で、落札馬の平均価格も前年比65万5391円下落し、709万2000円であった。

 牡牝の性別では、牡馬が147頭中101頭の落札で売却率68.7%。総額7億9239万6000円を売り上げ、平均価格は784万5505円。牝馬は、87頭中61頭が落札され、売却率70.11%。総額3億5650万8000円の売り上げで、平均価格は684万4393円であった。

生産地便り

最高価格で落札された245番ポーカーアリス2017

 最高価格馬はセリの終盤に登場した245番ポーカーアリス2017(牡青鹿毛、父リーチザクラウン)の3672万円(税込、落札価格は3400万円)。販売申込者は小林和幸氏。生産者は浦河・(有)木戸口牧場。飼養者は(株)愛知ステーブル。落札者はノーザンファーム。前日の公開調教で2ハロン計21秒35(10秒78、10秒57)という好時計をマークし注目されていた。

生産地便り

2430万円で落札された127番シャインパーミット2017

 次点は127番シャインパーミット2017(牡黒鹿毛、父スクリーンヒーロー)の2430万円(落札価格2250万円)。販売申込者と飼養管理者は(株)門別牧場。生産者は新ひだか町・上野正恵氏。落札者は(有)ノルマンディーファーム。因みに公開調教のタイムは21秒94(11秒17、10秒77)であった。

生産地便り

父エピファネイアの66番のウインデンファーレ2017

生産地便り

芦毛の牡馬、110番のゴッドフローラ2017

 三番目には2頭が並び、66番ウインデンファーレ2017(牡黒鹿毛、父エピファネイア、販売申込者と生産者ともに新冠・細川農場、飼養管理者は田口トレーニングファーム)と、110番ゴッドフローラ2017(牡芦毛、父ヘニーヒューズ、販売申込者と生産者ともに森永聡氏、飼養管理者は(有)日高軽種馬共同育成公社)の2160万円(落札価格2000万円)。ウインデンファーレ2017は国本哲秀氏が、ゴッドフローラ2017は桂土地(株)がそれぞれ落札した。

 因みにウインデンファーレ2017の公開調教タイムは22秒41(11秒62、10秒79)。またゴッドフローラ2017は22秒15(11秒49、10秒66)であった。

生産地便り

牝馬の最高価格馬は151番スリーキセキ2017

 また牝馬の最高価格馬は151番スリーキセキ2017(黒鹿毛、父シニスターミニスター)の1458万円(落札価格1350万円)で、販売申込者と飼養管理者は(株)エクワインレーシング、生産者は(有)前野牧場。落札者は竹下浩一氏。公開調教タイムは22秒48(12秒01、10秒47)。

 なお、トップバイヤーは最高価格馬を含む2頭を落札したノーザンファームで4968万円のお買い上げであった。続いてノルマンディーファームが3頭4600万8000円、竹下浩一氏が3頭4482万円という順である。

 また、地方競馬関係の購買も目についた。岩手県馬主会が7頭、岐阜県馬主会(個人名含む)が6頭、千葉県馬主会(全て個人名)が9頭と、即戦力を求める需要が依然として高いことが窺えた。

 市場を総括して木村貢組合長は「総額は微減でしたが、私が最も重視したい売却率は落ちなかったことにホッとしています。相場は落ち着いてきたと見ています。これから1歳市場が始まりますが、この数字を落とさずに今年一年間、やって行きたいと思っております」とコメントしていた。

 購買登録者数は昨年より8名多い612名であった。JRAブリーズアップセールと千葉トレーニングセールに続く2歳市場として、この札幌競馬場で開催されるトレーニングセールは上場頭数が最も多く、規模は大きいのだが、如何せん玉石混交の感が拭えず、価格の伸び悩む上場馬も少なくない。売却率と平均価格をさらに上昇させるには、何を置いても当市場取引馬のレースでの活躍以外に近道はないように思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング