年によってペース(流れ)の大きく異なるエリザベス女王杯の2200mだが、オースミハルカの作ったペースは(60.0秒-12.5秒-60.0秒)。見事にバランスのとれた一定の平均ペースで、自身の走破時計は、2分13秒7で2着だった昨年を上回る2分12秒6。これは今年で10回目を迎えたエリザベス女王杯の平均勝ち時計とほとんど同じ。自分でペースを作り、前半と後半を絶妙のバランスで乗り切り、女王杯の平均勝ち時計2分12秒6で粘ったオースミハルカの2着は、残念ながら再び2着にとどまったとはいえ価値ある2着だろう。
一定のペースで先導するオースミハルカから、他馬はあまりに大きく離れてしまったため、4角を回った地点ではそのまま逃げ切り成功と思えるほどだった。スイープトウショウはあの位置(それでも有力馬の中では最も前の中団)から良く届いたものだが、同じ2200mの宝塚記念を男馬相手にねじ伏せるように制した馬。ちょっと危なっかしく映りやっと届いた形だが、オースミハルカが一定のペースで先導してくれたため、レースの後半3ハロンが34.7秒。この秋の2戦のように、レースの上がり自体が33秒台の高速決着のスローではないのが良かった。次いで3着に押し上げたのが、2連覇中のアドマイヤグルーヴ(多少の衰えはあるだろう)だから、実績上位、人気も2、5、4番人気の馬が1〜3着した女王杯は、今年もまた、荒れそうで荒れない順当な結果だったといえる。
人気上位馬で凡走したのは、3歳エアメサイアと、期待した4歳ヤマニンアラバスタ。この2頭、最初の1角でぶつかり、エアメサイアはかかり気味になり、引いたヤマニンアラバスタは最後方。ともにレースの流れにうまく乗ってこそ…の条件がついた(エアメサイアはあまり厳しいレースの経験のない3歳馬。ヤマニンアラバスタは、置かれずに自分で動いたから目下3連勝)のだが、まぎれの生じにくい一定の平均ペースのレースが成立した中、勝負どころの3〜4角にかかっても最後方争いをしていては苦しい。ともに上がり3Fは33.4秒。スイープトウショウに次ぐ上がりで伸びているが、見せ場なしの凡走だった。3歳エアメサイアが位置どりに注文をつけ、正攻法では苦しいとしたのは仕方がないだろうが、4歳ヤマニンアラバスタはせっかくのGI挑戦なのに、挑戦者にしては弱気すぎた気がする。1年ぶりの出走で4着したヤマニンシュクルは価値ある4着。レースの流れにも乗れていた