小倉2歳Sを制した当時のアルーリングボイスは、仕上がりの早い器用なスピード型で、武豊騎手が巧みにリードし、ギリギリいっぱい追い込んできたセントルイスガールを凌いだ形だった。同じように小倉2歳Sを制した後、中央場所に戻ってからは不振で、早熟な牝馬として引退したアルーリングアクトのイメージそのものだったともいえる。
だが、56kgを背負った10月の1400mのききょうSを楽々と抜け出し、今回の1400mは一旦は内で寄られて下がりながら、直線は大外に出て一気の末脚。迫力十分だった。ずっと438kgだった馬体も、今回は坂路でビシッと追って446kg。力強くなっている。前回の坂路での追い切りに比べ、ケリ上げるウッドチップが大きな弧を描くように映ったから、確実にパワーアップしているのだろう。
1分21秒4の勝ち時計も、強さを感じさせ印象度も文句なし。良馬場発表でも午前中の雨で少しは時計がかかるコンディションで昨年のラインクラフトの1分21秒6や、一昨年のスイープトウショウの1分22秒6を上回っているのだから、近年の出世レースでの勝ちっぷりから、早くも桜花賞を展望できる立場に立ったといえる。
2着に惜敗のラッシュライフは、自身は(46秒7=34秒8)のバランスで抜け出し、3着のニシノタカラヅカ以下には2馬身の差をつけての1分21秒5だから、例年だと完勝の内容だった。連闘で函館2歳Sを2着。今回は初の長距離輸送で3ヶ月ぶり。アルーリングボイスとはキャリアの差もあり、秘める能力はほぼ互角だろう。
出遅れてレースをしていないブラックチーターは別に、他の伏兵と思えた上位人気馬が4〜6着に押し上げていることから、このレースの内容は今年の2歳牝馬陣の勢力図をかなり明確に示したレースだったといえる。