スマートフォン版へ

【新潟記念】特注のブルードメアサイアー

  • 2019年08月31日(土) 18時00分

少々の死角に目をつぶり、長所重視の作戦を取りたい


 馬場状態は流動的。ペース(展開)も読みにくい。非常に難解なので、ハンデに注目したい。今年の新潟記念にはハンデ57kg以上の実力馬が6頭もいる。遠い時代は別に、連続して新潟で行われた過去18年間では最多頭数タイ(3度目)であり、全体レベルはかなり高い組み合わせを示している。

 過去に6頭いた2016年は、57kg以上馬は【0-1-0-5】だった。もう一回の2006年は、【1-0-1-4】であり、今年のように57kg以上を背負う馬が6頭もいれば、さすがに1頭くらいは好走する。

 とはいえ、18年間で57kg以上を課せられた馬は52頭いて、その成績は【2-3-5-42】にとどまる。実績上位の評価を受けながら、勝率3.8%、連対率9.6%では、難解なハンデ戦そのもの。好走の可能性はかなり低いではないか、とするのが妥当か。たしかに1頭くらいは好走して不思議ないが、信頼度は高くないだろう。各馬の少々の死角には目をつぶり、長所重視の作戦を取りたい。

 軽ハンデ54kgの6歳馬アクートは、最終週の少々時計を要する芝大歓迎のステイゴールド産駒。タフな成長力を受け次ぎ、5歳秋以降のこの1年間【1-3-2-0】。ついにオープンに出世してきた。

 最大の長所は、新潟コース3、1、1、1着(全部外回り)であること。上がり3ハロンは4戦すべてメンバー中最速の「32秒5〜33秒5」だった。切れるというより、速い脚が長続きする差し馬。

 ハンデ54kgが示すようにここではランクは下だが、抜群の新潟外回り(経験は1800mと、2000m)に対する適性は光る。例によって攻め馬の動きはごく平凡だが、もともと調教は動かないので、狙ったここは仕上がりに不安はない。

 ドリームジャーニーとオルフェーヴル兄弟、ゴールドシップ、フェイトフルウォーなど、種牡馬ステイゴールドは、メジロマックイーン(芦毛)の牝馬と抜群の相性(ニックス)を誇ったことで知られる。

 アクートは、(残念ながら)母の父はクロフネで、祖母の父がメジロマックイーンだから、相性の良さ半減かもしれない。ただし、母の父クロフネは現在、母の父ランキング「8→6→5→2」位に上昇中。特注のブルードメアサイアーになっている。

 ステイゴールド(15年死去)は、最新の著名牝系ではなく埋もれかけた一族に光りを当て、蘇らせる役目を担った。それもあって、一時代前の勝負強い夏の平坦巧者の血をもつノーザンテーストのクロスを持つ馬が多かった。オルフェーヴル兄弟はノーザンテーストの「4×3」であり、レインボーラインは「4×5」。ウインブライトは「4×4」になる。

 アクートの場合、3代母ペッパーキャロル(母の父ノーザンテースト)は、1996年の新潟記念2着馬サクラキャンドル(母の父ノーザンテースト)とイトコの間柄(母が全姉妹)であり、ノーザンテーストの「4×5」となる。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング