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【富士S】マイルCSと直結しない最重要前哨戦

  • 2019年10月18日(金) 18時04分

近年の棲み分け傾向が大きな理由のひとつ


 1999年から2008年までの10年間は、11月のGI「マイルCS」と富士Sの関連は乏しく、富士S出走馬でマイルCSの馬券に関係した馬は2頭「1着…1頭、2着…1頭」だった。ところが、2009年から2018年までの10年間では9頭「1着…3頭、2着…5頭、3着…1頭」に増えている。1着馬への優先出走権(14年から)はあまり関係ない。天皇賞(秋)2000m→マイルCS1600mの日程を組む有力馬が少なくなった、近年の棲み分け傾向が大きな理由のひとつと考えられる。

 したがって最重要な前哨戦ではあるが、ここは東京のマイル戦、まして斤量差のある別定戦。仕上がり一歩と思える馬以外はマイルCSと結びつけて考えなくていい。

 この重賞が渋馬場(重-不良)で行われたのはわずか2回だけ。11年が「4歳=4歳」、17年が「4歳=6歳」。タフなレース経験のある古馬のほうが信頼できそうだが、負担重量54kgの3歳馬クリノガウディー(父スクリーンヒーロー)に注目。

 同じ3歳の人気馬アドマイヤマーズ(父ダイワメジャー)には、「朝日杯FS→皐月賞→NHKマイルC」で対戦して3連敗中だが、皐月賞とNHKマイルCはかかり気味に先行しての失速。7月の中京記念1600m、あるいはうまくタメが効いて0秒3差しかなかった朝日杯FS(2着)で見せた、差しての良さが生きなかった。

 ここまでの対戦3回は同じ負担重量だったが、別定重量の今回はアドマイヤマーズの57kgに対し、無冠のクリノガウディーは54kg。渋馬場が予測される。重馬場の巧拙は別にしても3kg差は魅力だ。伝説のクリフジ(父トウルヌソル。繁殖名 年藤)の全姉 鶴藤から存続してきた歴史をもつきわめてタフな一族であり、稍重の中京記念の内容から渋った馬場は不得手ではないと思われる。

 古馬陣では、5歳牝馬レッドオルガ(父ディープインパクト)は侮れない。前回のヴィクトリアマイルは11着(1分31秒4)だが、伸びかけた直線坂上で前が狭くなり、さらには挟まれてそこであきらめている。ディープ産駒でも渋馬場はそう苦にしない一族だけに大きく割り引く必要はないだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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