近未来のエースに先行投資を…
先週の秋華賞は、2000年以降今年まで20回、春のクラシックに出走経験のあった勝ち馬が「15頭」。不出走の勝ち馬「5頭」となった。
一方、菊花賞はこの時期(10月)に移った2000年以降の19回、春のクラシックに出走経験のあった勝ち馬は「9頭」。クラシック不出走馬が「10頭」。特別な距離3000mになることも関係し、春の実績は不問に近い。
ただ、2歳戦ができた翌1947年以降、菊花賞勝ち馬の最少キャリアは(菊花賞前まで)、2018年のフィエールマンの3戦が歴史的な大記録であり、4戦の勝ち馬はいない。2番目にはただ1頭、1987年サクラスターオーの戦歴5戦が続く。すると、キャリア5戦以下の馬は、過去72年間で「2頭」しか勝っていない。
今年の菊花賞には4戦の「ザダル、ヒシゲッコウ」がいる。この2頭が勝つとフィエールマンに次ぐ快挙になり、5戦の「カウディーリョ、カリボール、ホウオウサーベル、ワールドプレミア」が勝つと、サクラスターオーに並ぶ史上2位の記録達成となるが、ホントにもうキャリアは問われない時代なのだろうか?
菊花賞の3000mは「フィエールマン、キセキ、サトノダイヤモンド、キタサンブラック、エピファネイア、ゴールドシップ、オルフェーヴル…」など、近未来の中-長距離界のエースの出発点になっている。
このことが菊花賞の重要な存在価値。これからもっと、ずっと強くなるチャンピオンのスタートであり、そういうチャンピオンはほとんどが世界の中-長距離のビッグレースを展望し、挑戦に出る。まだキャリア不足だと勝機は乏しいのは確かだが、類い希な将来性(素質)を秘めているなら、勝って少しも不思議はない。先行投資であっても買うに値する。
人気の中心だが、ヴェロックスに期待する。春2冠好走の実績ではなく、これから本物になり、もっと強くなると思えるからだ。体形もすばらしい。父ジャスタウェイも、その父ハーツクライも、3歳の時点では未完成、無冠だったが、やがて本物になり日本の頂点のビッグレースを制し、世界のGIを勝つ馬に成長している。
ヴェロックスのファミリーは、母の父モンズーンが示すドイツを代表する名門牝系。マンハッタンカフェ、ブエナビスタのほか、2歳の大物サリオス(父ハーツクライ)もこの牝系に属する。ここまであと一歩で勝ち切れない詰めの甘さはあるが、それはスピード系ではなく、底力こそが真価の中-長距離タイプだからともいえる。
キャリアが浅いグループでは、5馬身差独走になった阿賀野川特別の内容がすばらしいホウオウサーベル(父ハーツクライ)に魅力大。
春のグループでは、ステイヤーの資質を秘めるニシノデイジー(父ハービンジャー、祖母の父セイウンスカイは98年の菊花賞をレコードでスペシャルウィークに完勝)が、その真価を問われる。勝浦騎手で良かったが、C.ルメールは菊花賞【2-0-1-1】。やはりプラスは大きい。