各陣営の想いがこもった一戦
ある事を判断するのに急ぎすぎると、何もかもを台無しにしてしまうことがある。何よりも大事なのは、人の話を聞き、その言葉を味わうこと。そしてそれらを知るよろこびにひたること。そうすれば判断は、おのずと形成されてくると、これは先人の残した言葉を要約したものだが、これをチャンピオンズカップに応用してみたい。
中京の1800mに定着して6年目、今年も3歳馬が有力馬に名を連ねている。デビューから徹底してダートに出走して5戦5勝のクリソベリルは、前走古馬を撃破し、これまで2着馬に合計26馬身の決定的な差をつけてきた。
2走前のジャパンダートダービーで同世代の頂点を極めているが主戦の川田騎手は、「体が大きいので成長には時間がかかるタイプだが、それなのに結果を出している」と評価している。ダート重賞6勝した全兄クリソライトにくらべ、こちらはもまれ弱くはないと音無調教師。無敗で古馬混合G1制覇となれば、令和の新怪物出現となる。
一昨年、フェブラリーSとチャンピオンズCと史上3頭目のJRAダートG1同年制覇を達成しているゴールドドリームは、その後かしわ記念、帝王賞と勝利を重ねてきた。前走も含めて南部杯だけは過去3年で5、2、3着と敗れているが、盛岡は相性が悪く、中京なら別と考えてよさそうだ。左前球節炎で帝王賞を回避してひと叩き、今回は上昇ムードが感じられた。
これを今年のフェブラリーSで逃げ切りで破ったインティは、デビュー2戦目から7連勝で頂点を極めたが、その後3戦の敗戦で評価を下げている。ムキになり、もろさを露呈したということだが、ハナを主張したいという今回は鞍上が武豊騎手なら、蘇ることも。
過去チャンピオンズCで1-3着を21頭も出してきたJBCクラシック組からは、1、2着馬チュウワウィザード、オメガパフュームが出ている。大事に使われてきたチュウワウィザードは成長途上の4歳馬。
デビュー4戦目以来、1年5ヶ月ぶりの福永騎手でダート重賞6戦4勝、2着2回の100%の成績をのばす期待がかかるし、これとここ3戦は全く同じレースで戦っているオメガパフュームも、帝王賞では勝っているから、去年5着からの巻き返しも想定できる。
デットーリ・マジックを見たい向きもいるだろう。安田翔調教師は、精神的に思った以上に成長していると語っていた。
スミヨン騎手で末脚爆発が期待されるウェスタールンドは、初めてダートに出たのが昨年の6月。鮮やかに差し切ってその適正の高さを示し、G1初挑戦の去年素晴らしい追い込みで2着と好走している。ハイペースならこの7歳馬も加えたいが。
さて、どのストーリーによろこびを感じるか。急がず判断したい。