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【朝日杯FS 追い切り】先週に続き同舞台での2歳GI、求められる能力は同じ!? 追い切りを徹底解説!

  • 2019年12月11日(水) 18時00分

先行馬をマークする立場なら、末脚を爆発できる


 先週の阪神JFはレシステンシアの圧勝劇。当欄にも「ラップの踏み方がここまで安定してくると過去2戦以上のパフォーマンスを期待したくなります」と記しましたが、その通りの結果になりました。先週の土日阪神はともにマイル戦でしたが、勝ち馬の最終追い切りはいずれも栗東坂路で2Fが24.1秒と23.9秒。この脚力が今の阪神マイルには必要なのかも知れません。

 そう考えると、今週の朝日杯FSでも栗坂2Fの時計は馬券の鍵を握るかも知れません。実際、昨年の朝日杯FSは最終追いに限らず、2週前から栗坂追いが人気薄激走しやすいというのは他メディアで書いた調教適性。そうなってくると、美浦所属馬の扱いをどうするかなど、予想の組み立てを考えないといけませんが、ひとまずここでは栗東所属馬の調教内容を解説しましょう。

【朝日杯FS/レッドベルジュール】

 前走が約5ヶ月ぶりのレース。その調教内容としては、調教前半に栗東坂路で軽く時計を出し、その後はCWと栗芝で追い切るという形。併用調教ではありますが、どちらかといえば、トラックに重点を置いた調教内容だったと思います。

 今回はレース間隔が違いますが、トラックに重点を置く調教内容は前走時と同じ。1週前追い切りはCWで併せ馬を行っていますが、残り300m地点までは持ったままの手応えで前に迫ってくる前進気勢が見られました。追い出すと右手前に替えて、更に伸びようとしていましたが、そのフットワークはダイナミック。最終追い切りは栗芝になりましたが、その動きからは好調を感じます。

レッドベルジュール

芝で最終追い切りを行ったレッドベルジュールは好調に映る(写真奥)


【朝日杯FS/タイセイビジョン】

 過去3戦していますが、阪神、函館、東京といろんな競馬場で1200mと1400mを走って、自身の上がり3Fはすべてメンバー最速。これは高く評価できる内容だと思っています。ちなみに栗東坂路で最終追い切りを行った時は2戦2勝ですから、自身にとってもレースの調教適性にとっても栗坂はポイントになりそう。

 ちなみに1週前追い切りは武豊騎手が跨った栗坂での併せ馬でしたが、並びかけるまでは2歳馬らしい首を振るシーンもありましたが、1頭になってからはまっすぐ駆け上がる姿。気分よく走れたという印象です。最終追い切りは2回目のハローが終了した直後、非常に走りやすい馬場状態の中で4F55.4秒。時計は気持ち物足りないかなと思います。

【朝日杯FS/ペールエール】

 前走は案外なレース結果にガッカリというのは正直な印象ですが、あらためてこの馬を見直すことになったのは1週前追い切り。CWで3頭併せの最後方でしたが、ゴール前では先行馬が脱落して、最後はトロワゼトワルとの追い比べ。とはいっても、相手が前に出ていましたし、その手応えも楽。「追いつかないだろうな」というのが一瞬見た時の判断です。

 ただ、ジョッキーが追い出すと、ぐんぐんと伸びて、手前も逆ではありますが、右に替えて抜け出してきます。この動きを見て感じたことは「目標へ向かって加速する能力は素晴らしいものがあるけど、抜け出すとホッして力を抜く」タイプだということ。サリオスあたりの強い先行馬をマークする立場なら、ゴール前で今まで見せたことがないような末脚を発揮する可能性は十分ありそう。

 最終追い切りはO.マーフィー騎手が跨って併せた相手を最後まで交わすことがありませんでした。むしろこの動きから、実戦で前を追い抜くということをやってくれれば。

ペールエール

強い先行馬を捕まえる形に持ち込めれば、勝機は十分にあるペールエール(12月10日撮影)


【朝日杯FS/ラウダシオン】

 前走時も今回も共通しているのは、追い切りがすべてCWで行われている点。速い6F時計を出すというよりも、単走で終い重点という形で、1週前追い切りもその形でしたが、最後まで集中して走れているのが印象的でした。

 併せるとそれだけ行きたい気持ちが出てしまうのかも知れませんが、そのあたりが多頭数で距離延長となる今回の鍵。追い切り自体は丹念にこなしているので、この馬自身の好走パターンの調教内容との比較では問題ありません。ただ、レースに対する調教適性も加味した上での判断となると、評価は高くないというのが正直なところです。

【朝日杯FS/ビアンフェ】

 デビューから3戦は函館競馬場で調整していたため、栗東での最終追い切りは前回が初めて。中竹和也厩舎らしく、休み明けはあまり本数が多くないという状態でしたが、栗坂で2F24.1秒をマークして2着という結果でした。

 今回は3週前から週1本ずつの追い切り。追うごとに2F時計を詰めていて、最終追い切りは栗坂で2F24.3秒。1F11.8秒の走りは本当に素晴らしかったと思います。自分のリズムで走ることができれば、しっかりと脚を使えます。ここも自分の競馬をするだけでしょう。

ビアンフェ

追うごとに調教タイムを縮める走りは評価できるビアンフェ


◆次走要注意

・12/8 阪神JF【リアアメリア】(1人6着)

 圧倒的1番人気を裏切る結果となりましたが、今回はレースに戸惑ったのかなという印象。もう少し前の位置でレースするつもりだったようですし、そのあたりの鞍上の指示と馬の気持ちにズレがあったのかも知れません。決してこれで終わる馬ではないと思いますし、今後は厩舎もしっかり調整してくれるはずです。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切りで併せ馬先着なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・2歳未勝利【ベニトアイト】

 CWでモズダディーに先行する併せ馬でしたが、4コーナーから最後の直線へ向かう時のギアチェンジが素晴らしい動き。それでいて、スピードを出しすぎることなく、適度に余裕を持った走り。ゲートさえしっかり出れば。

【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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