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【有馬記念】胸が高鳴る豪華メンバーの追い切りを徹底解説!

  • 2019年12月18日(水) 18時00分

好走時と比較すると評価できない…


 いよいよ今週は有馬記念。出走メンバーを見渡して、こんなにワクワクするG1は久しぶり。20年以上前の競馬ファンだった頃を気持ちが蘇るような感じですね。具体的に思い出してみると、1994年の有馬記念。三冠馬ナリタブライアンが圧倒的な支持を集めたレースでしたが、女傑とも評されたヒシアマゾンがひょっとしたらこれを負かすんじゃないか考えたことを思い出します。

 この年3着だったライスシャワーは僕が競馬にのめり込むきっかけとなってくれた馬。あの時の気持ちを思い出させてくれる有馬記念って、ワクワクっていうよりも感慨深い気持ちなのかも知れません。まあ、おっさんになったということでしょう(笑)

 ともあれ、気になる馬がわんさといますから、ぜひとも金曜更新の重賞捜査網の調教解説もご利用いただいて、馬券予想のお役に立ちたいと思います。

【有馬記念/リスグラシュー】

 netkeiba.comの矢作芳人調教師のインタビューにも出ていますが、これで引退が惜しまれる、そんな印象を受ける馬の様子です。肢がスラリと長いタイプで、瞬発力が武器な馬ですが、今は歩く姿が全身バネのような感じ。17日の火曜日に坂路小屋から調教の様子を見ていると、これで引退はもったいないなあと何度も思ってしまったくらいです。

 1週前追い切りの坂路2F24.0秒は素晴らしい時計。この脚力こそ、最大のセールスポイントだと思います。少し肢を開いて走る、ハーツクライに似た走法ですから、少々馬場が荒れたり、渋ったとしても大丈夫でしょう。最終追い切りの時計も1週前追い切りとほぼ同じ。海外遠征帰りでもしっかりと仕上げられています。

リスグラシュー

これで引退は惜しいと思わせるほどの調教をみせるリスグラシュー(12月17日撮影)


【有馬記念/サートゥルナーリア】

 天皇賞秋はレースコメントも出ているように、道中力んだことが敗因のすべて。これに関して、調教から分析することは非常に難しい部分がありますが、CWでの追い切りの様子は当時よりも落ち着いているようにも見えます。今回は2週前追い切りに中谷雄太騎手、1週前追い切りにC.スミヨン騎手という流れはこれまでにはなかったこと。

 それだけ負荷が強くなったのですが、そういった意味では1週前追い切りで併せ馬を課してきたのにも好感が持てます。今秋は単走ばかりだったので、それが力みの要因になる部分もあったかと思いますから、今回の最終追い切り場所が栗東坂路になった点は評価できます。4F52.1秒は決して軽い負荷ではありませんし、2F24.0秒はなかなか見応えのある動きでした。

サートゥルナーリア

きちんと負荷をかけることができているサートゥルナーリア(12月17日撮影)


【有馬記念/ワールドプレミア】

 前走は秀逸なレース内容でG1を制覇。レースのセンスの良さを発揮した勝利だったと思いますが、3歳春に比べて、着実に馬が強くなっている印象も受けます。中3週だった前走時は中間追い切りも含めて、併せ馬は皆無でしたが、今回は中8週ということもあって、2回の併せ馬を消化。これがいずれも先着ということで、これまた春に比べて動けている印象です。

 最終追い切りは坂路で単走。時計的には前走時とほぼ同じですが、動きに余裕がある点は前走以上だと思います。これが3歳馬のアドバンテージである成長だと思いますし、前走のレースぶりが今回にも活かすことができれば、十分にチャンスある1頭でしょう。

ワールドプレミア

成長著しい3歳馬、レースセンス活かせれば十分にチャンスあるワールドプレミア


【有馬記念/スワーヴリチャード】

 前走時は最終追い切りを坂路に変更し、4F時計の自己ベストを更新して、レースでの結果に繋げました。今回も坂路オンリーでの仕上げ。これが板についたといってもよいと思いますし、普段のCWでのキャンターを見ていても、以前より安定感ある走りになったような気がします。

 それだけに注目していた最終追い切りですが、時計は4F58.2秒。非常に遅くなりましたが、これは共同記者会見のコメントにも出ていたようですが、ジョッキーの判断も大きかったようです。確かに1週前追い切りで4F50.1秒は自己ベストを更新していますから、速い時計は必要なかったかも知れません。ただ、前走との時計差があまりにも大きいだけに、好走時との比較という意味では評価できません。

スワーヴリチャード

勝利した前走との比較では評価できないスワーヴリチャード(12月17日撮影)


【有馬記念/キセキ】

 フランス遠征帰り。疲れなどが気になるところですし、私自身がこの馬が栗東へ戻ってきた初日を見て、それを感じたのですが、担当する清山宏明調教助手に話を聞くと、その馬体が意図的なものだったことを知ります。それでも追い切りの動きでは物足りなさを感じていましたが、このあたりも同助手が丁寧な解説をしてくださったおかげで「最終追い切りにはこんな動きをするだろう」というイメージはできました。

 それを確認したのが、18日の最終追い切り。いつもと変わらない、CWでの単走でしたが、軽快さと力強さのバランスが素晴らしく、その上、最後の直線での弾けっぷりはこれまでになかったもの。フランスで得た「地面を捕まえて走る」という調教の効果がしっかりと表れる内容でした。走るフォームが変わった今なら、昨年とはまた違ったレースができそうです。

キセキ

仏遠征で新たなフォームへと生まれ変わったキセキ


◆次走要注意

・12/15 朝日杯FS【ビアンフェ】(5人7着)

 自分の競馬に徹して、前半3Fが33.8秒。これは決して悪くないペースだと思いましたが、勝ち馬が3番手に付けたことで、プレッシャーは相当大きかったと思います。それでいて、この着順ならよく踏ん張っていると思いますし、これでマイルは長いと決めてしまうのは早計だと思います。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切りで坂路4F目最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・有馬記念【ヴェロックス】

 朝一番のCWコースで単走でしたが、道中から比較的速いラップを踏んでいって、スピード感十分に最後の直線へ。そこから更に加速したゴール前の動きに「めっちゃ、ええやん」と呟いてしまうほど。時計も6F83.0〜5F67.2〜4F51.9〜3F38.1〜1F11.4秒ですから申し分ありません。

ヴェロックス

唸るほどの加速をみせたヴェロックス



【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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