近年は春のマイルGIへの前哨戦傾向
至宝と称えられるシンザン(1964年の3冠馬)の名を伝える今年54回の「シンザン記念」には、1968年第2回の出走馬に「タニノハローモア(日本ダービー馬)と、マーチス(皐月賞馬)」が含まれた。第4回の出走馬には「ダテテンリュウ(菊花賞馬)」がいた。みんなバリバリ出走する時代だった。
だが、時期は1月、コースは京都1600m。非常に難しい位置にあるため、「シンザン記念の勝ち馬」は2002年のタニノギムレットが日本ダービーを勝つまで、35年間もクラシック馬にはなれなかった。
しかし、時代の変遷とともに、クラシックを狙う馬の日程は大きく変わった。レース間隔を重視し、ムダなレースには出走しない。そんな活力の消耗を避ける日程が主流になると、最近15年の出走馬から桜花賞馬が5頭も誕生している。「07年ダイワスカーレット(2冠馬)、11年マルセリーナ、12年ジェンティルドンナ(3冠馬)、16年ジュエラー、18年アーモンドアイ3冠馬)」
一方、男馬からは11年オルフェーヴル(3冠馬)、17年にはアルアイン(皐月賞馬)の2頭が出走馬から出現した。牡牝合わせて3冠馬が(準クラシックの秋華賞を含め)3頭も出現したから、シンザン記念なのである。ただし、距離は1600m。近年のレースの色彩は、桜花賞を狙う牝馬と、NHKマイルCを目指す馬の路線重賞になった。
牝馬ルーツドール(父ジャスタウェイ)は、4戦目に菊花賞を勝ったフィエールマンの半妹。キャリア不足は大きな死角ではない。昨年、戦歴1戦だけの馬が勝っている。
ルーツドールが東京1600mの新馬を5馬身差で圧勝した日、東スポ杯1800mを5馬身差の大レコード1分44秒5で独走した牡馬コントレイル(最優秀2歳牡馬)の1600m通過は、もう先頭に立って「1分33秒1」だった。
デビュー戦の牝馬ルーツドールの時計も、東京のマイルを楽々と「1分33秒3」だった。最後の1ハロン11秒4。少しも脚色は乱れていない。
大跳びのストライドだけに、あまり馬場が渋ると心配だが、この組み合わせならスケールと、スピード能力で圧倒が可能だろう。同じ牝馬サンクテュエール(父ディープインパクト)は、関西圏への輸送を経験させるのが最大のテーマとも思えるが、当然、好勝負。
2戦目の切れが光った牝馬オーマイダーリン(父ディープインパクト)も、牡馬の注目馬タガノビューティー(父ヘニーヒューズ)とそう差がないかもしれない。