全馬乗り替わりもこの馬に関しては…
先週2日の東京「根岸ステークス」は、関東圏の重賞なのに全出走馬16頭が関西の所属馬だった。今週の「東京新聞杯」は、全出走馬16頭のジョッキーが前走と乗り替わりという特異な組み合わせになった(うち9頭がテン乗り)。
乗り替わりにはさまざまな理由があり、主戦騎手に戻ったケースもあれば、鞍上強化を図った場合も、やむを得ない場合もある。今回は、3場同時開催時のGIIIゆえに生じた珍しい「全馬乗り替わり」だが、プラスの可能性が大きいと考えられる場合は重要な検討要素に加えたい。
5歳牡馬レッドヴェイロン=ルメールのコンビは【3-1-0-0】。同馬にもっとも多く騎乗しているのがC.ルメールなので、これは主戦に戻ったケース。少なくともマイナスはない。
そのレッドヴェイロンの母はエリモピクシー(父ダンシングブレーヴ)。エリモピクシー産駒の東京1400〜1600mの好成績は良く知られる。代表産駒の2番仔クラレントは、2013年の東京新聞杯1着など【2-2-3-4】だった。安田記念3着もある。
4番仔のサトノルパンは【1-0-1-2】。6番仔のレッドアヴァンセはヴィクトリアマイル3着など【1-0-2-0】であり、7番仔のレッドオルガは2019年の東京新聞杯2着など【2-1-2-1】になる。そして8番仔のレッドヴェイロンは、2018年のNHKマイルC3着を含め【2-1-1-0】。
ここまでの全産駒8頭の東京芝1400〜1600mの合計成績は【8-4-10-13】となるが、さすがに頂点のGI安田記念は苦戦だったのでこれを別にすると【8-4-9-7】となる。3着以内率.750はすばらしい。
母エリモピクシーは、ダンシングブレーヴ産駒らしく脚の使いどころが難しかった。桜花賞馬キョウエイマーチのように強気に飛ばすか、エリザベス女王杯のエリモシックや、ダンシングブレーヴ自身の凱旋門賞のように末脚勝負に徹するか、思い切ったレースをしないとビッグレースは勝てなかった。エリモピクシーは7勝もしながら、重賞は3回のGIII3着が最高。詰めは甘かった。
だが、母の父となったダンシングブレーヴは、日本ダービーなどGI4勝のメイショウサムソン、宝塚記念などGI3勝のスイープトウショウを筆頭に、豊かな底力を伝えることに成功している。そこでエリモピクシー産駒のように東京コースに高い適性が生まれた。
まだ未完のレッドヴェイロンだが、東京マイルは【2-1-1-0】。ここを突破するとき、上の7頭が手の届かなかったGI安田記念をも狙える馬に成長する可能性がある。
相手は、最近10年で9頭も連対している4歳馬。ヴァンドギャルド、クリノガウディーが有力だが、中間の動きが一変したケイデンスコールは侮れない。NHKマイルCを今回と同じ石橋脩騎手で1分32秒5。アドマイヤマーズの2着している。