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ビッグレッドファームなど各地で種牡馬展示会

  • 2020年02月20日(木) 18時00分

どの種牡馬も、一年でも長く種牡馬生活を続けて欲しい


 2月11日(火)は新冠地区2場の種牡馬展示会であった。午前10時にまずビッグレッドファーム。その後、優駿スタリオンに移動しての展示会が開催された。

 ビッグレッドファームは、8頭が展示された。顔ぶれは昨年から変わっておらず、ジョーカプチーノからスタートして、グラスワンダー、アドマイヤマックス、ロージズインメイ、アグネスデジタル、ダノンシャンティ、ダノンバラード、最後に展示されたのがゴールドシップである。

 実績のある種牡馬が多い、ということは、それだけ平均年齢が高くなってきているということでもある。グラスワンダー25歳、アドマイヤマックス21歳、アグネスデジタル23歳、ロージズインメイ20歳。そろそろゴールドシップに続く新種牡馬が欲しいところだ。

 優駿スタリオンは、今年全25頭の陣容でシーズンを迎える。そのうち展示されたのは23頭で、新種牡馬はアレスバローズ、モーニン、キタサンミカヅキの3頭だ。アレスバローズの猪熊広次オーナーやキタサンミカヅキの北島三郎オーナー、管理調教師の船橋・佐藤賢二師も姿を見せ、それぞれ愛馬の種牡馬入りを見守った。

生産地便り

地方の短距離路線で活躍したキタサンミカヅキ


 優駿スタリオンは大将格のヘニーヒューズを始め、アジアエクスプレス、エスポワールシチー、シルバーステートなどがすでに満口となっており、ひじょうに活気のある種馬場との印象が強い。この日は新種牡馬のいないビッグレッドファームをスルーして、優駿スタリオン展示会だけ訪れるという関係者も少なくなかった。

 この週は展示会が連日続いており、翌12日(水)は、一連の展示会日程の中でもピークの日である。

 朝9時よりJBBA静内種馬場より始まった展示会は、1時間後の10時にアロースタッドへ移動し、その後11時半よりレックススタッドでの展示会となった。

 JBBAは、今年アニマルキングダム(ケンタッキーダービー、ドバイWC)を導入。昨年導入されたデクラレーションオブウォー、本年我が国での初産駒がデビュー予定のマクフィ、クリエイターIIやクロノジェネシスを輩出したバゴなど計8頭が展示された。

生産地便り

JBBAの新種牡馬アニマルキングダム


 JBBAからアロースタッドまでは比較的近い距離だが、毎年のことながら展示会のはしごには必ず大渋滞となる。今年も二十間道路はズラリと車列が出来てなかなか進まずに難儀させられた。

 午前10時よりアロースタッドの展示会が始まった。今年、アロースタッドには2頭の新種牡馬がお披露目の予定であったが、残念ながらカリフォルニアクローム(米国年度代表馬に二度輝いた歴史的名馬、である)は疾病のため今回の展示が見送られたのは何とも残念であった。

 来月、改めて関係者に展示する機会を設ける予定らしいので、またの機会にその雄姿を拝みたい。今年初産駒がデビューする同馬は、久々に日高に入ってきた大物との評判が高い。種付け料400万円ながら展示会を待たずにすでに満口になっているあたり、日高の関係者の期待の大きさが表れている。

 アロースタッドの新種牡馬はもう1頭のロジャーバローズだけが紹介された。周知のとおり昨年のダービー馬で、地元静内に凱旋し晴れて種牡馬としてデビューすることになったのである。

生産地便り

昨年の東京優駿馬ロジャーバローズ


 アロースタッドは全35頭の陣容だが、今回展示に供されたのは29頭。規模では社台スタリオンを凌駕しており、これだけの数になってくると、1頭ずつ手元でメモをとらなければ混乱してくる。

 11時半からはレックススタッドの展示会であった。JBBA→アロースタッド→レックススタッドとしばらくこの順番は変わっていない。

 レックススタッドの繋養種牡馬は全26頭。この日展示されたのはそのうちの26頭で、今年の新種牡馬はアポロケンタッキー、エピカリス、サクラアンプルール、ミッキーグローリー、ユアーズトゥルーリの5頭である。抜けた高額馬こそいないが、いずれも血統や実績からオーナーが愛馬に種牡馬としての第二の人生ならぬ馬生を送らせてやろうと決心した馬たちなのであろう。レックススタッドでトリを務めたのは20歳になるダービー馬のネオユニヴァースであった。

生産地便り

東京大賞典などの勝ち鞍があるアポロケンタッキー


生産地便り

UAEダービーでサンダースノーの2着だったエピカリス


生産地便り

札幌記念勝利など長く活躍したサクラアンプルール


生産地便り

GIII2勝の実績があるミッキーグローリー


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母は重賞4勝アイムユアーズのユアーズトゥルーリ


 一連の展示会日程で最後になったのが浦河のイーストスタッド。一時、イーストスタッドは、繋養頭数、交配頭数ともに伸び悩んでいたが、このところかなり勢いを盛り返した印象で、今年は21頭の陣容でのシーズンインとなる。

 新種牡馬は3頭(アドミラブル、ヘンリーバローズ、グァンチャーレ)で、今年産駒がデビュー予定のホッコータルマエと産駒成績が良いマジェスティックウォリアーはすでに満口の人気ぶりだ。

生産地便り

2017年の東京優駿1番人気3着のアドミラブル


生産地便り

シルバーステートの全弟ヘンリーバローズ


生産地便り

重賞で数多く好走したグァンチャーレ


 19頭が展示されたが、メイショウサムソン、ディープスカイの日本ダービー馬、ダートで大活躍したインカンテーション、実績あるメイショウボーラー、地味ながら確実に活躍馬を送り出しているバンブーエールなど、地元浦河の生産馬が数多いのもこの種馬場の大きな特長である。

 毎年感じることだが、こうして一連の展示会を見て歩くと、いかに多くの種牡馬が日高に繋養されていることかと感心してしまう。有名無名、それこそピンキリだが、どの種牡馬であっても、配合牝馬に恵まれ一年でも長く種牡馬生活を続けて欲しいと願わずにはいられない。

 近年は配合頭数の格差がますます拡大する傾向が顕著だが、特定の種牡馬の産駒ばかりが活躍する競馬はやはりどこか味気ない、とは感じている。日高で繋養されている全ての種牡馬に改めてエールを送りたいと思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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