【弥生賞ディープインパクト記念】ホープフルS組対別路線組の対決がもたらす意味
近年の皐月賞展望はますます難しくなっている
春のクラシックに挑戦のローテーションは、牝馬より牡馬のほうが多様に変化している。最近10年、皐月賞で3着以内に快走した30頭の直前レースは、「弥生賞…8頭」「スプリングS…6頭」「共同通信杯…6頭」「若葉S…4頭」「京成杯…2頭」「ホープフルSなど4R…4頭」となる。
今年の有力候補コントレイルは12月のホープフルSから、また、サリオスも12月の朝日杯FSからの直行が予定されている。
日本ダービーでは、皐月賞出走馬が30頭のうち「20頭」を占めるので、勢力図(ランキング)を描くのは難しくない年も多いが、皐月賞の展望はますます難しくなった。もともと、皐月賞の1番人気馬は過去20年【6-4-3-7】であり、日本ダービーのそれは【10-2-3-5】だった。日本ダービーを大目標に、皐月賞までは負担をかけない仕上げ手法が増えてきたのである。
弥生賞ディープインパクト記念には、コントレイル(3戦3勝)の制した12月のGIホープフルSの出走馬が4頭いる。別路線のサトノフラッグと、ホープフルS組の力関係が少し判明する。そのホープフルS2000mの流れは、前後半「60秒9-60秒5」=2分01秒4(上がり36秒4)。
一方、サトノフラッグが勝った1月の2000mは、前後半「61秒7-59秒7」=2分01秒4(上がり35秒6)。
並べると、ホープフルSは前後半1000mの差が0秒4しかない一定ペースで、一方、サトノフラッグのレースは前後半の差が2秒0も生じたスローペース。だが、バランスはまったく異なるのに不思議に同じ2分01秒4だった。
たまたま走破時計は同じだが、ホープフルSはインの芝がかなり痛んだAコース。一方、サトノフラッグは移動柵のCコース。明らかに馬場差はあった。
ただし、バランスの取れたホープフルSは全体時計が速くなっていい流れであり、スローのサトノフラッグのレースは、全体時計が速くなりようがない。ペースのバランスと、馬場差を考慮すると、2つのレースの中身の価値はほとんど互角ではないだろうか。
GIで3着したワーケア、さらに5着オーソリティを軽くみることなどできないが、コントレイルに差をつけられた2頭の上がりは35秒9と36秒3。
スローを徐々に進出して抜け出したサトノフラッグの上がりは35秒3(推定11秒9-11秒5-11秒9)だった。コントレイル、ヴェルトライゼンデに完敗のホープフルS入着組なら、サトノフラッグの中身の方が上ではないかとすることができる。
武豊騎手(50)は、弥生賞に19回騎乗して【7-5-2-5】。近年の連対数は少ないが、ここへきて、すっかり本来のリズムを取り戻している。あまり控えたレースはしないだろう。
中間の上昇が目立つサトノフラッグ対ホープフルS組の図式に、別路線からは良化のメイショウボサツ、勝ちっぷりの良かったオーロアドーネを加えたい。