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阪神ジュベナイルF

  • 2005年12月05日(月) 11時50分
 馬場発表は「良」として記録されるが、これは馬場の急変に発表が追いつかなかったもので、実際には雨の重馬場。来春になってこのGIの中身を振り返る際には、馬場差が2秒前後もあった滑る重馬場だったことを忘れないでチェックしたい。

 好走したグループは、時計のかかるタフなコンディションを克服した点で、記録として残る数字よりレーティングやランキングを高めていいだろう。伏兵が快走した阪神JFは、ほとんどの場合、桜花賞路線には結びついていない歴史があるところが難しいが、今年の1〜3着馬は豊かな将来性と、底力のあるタイプであることを示した。一方、滑る重馬場で良さを殺されたグループは、この1戦だけで大きく評価を変える必要はない面もあり、チューリップ賞やエルフィンSのころに、改めて桜花賞に向けての再評価を受けることになる。

 勝ったテイエムプリキュアは、これで5、5、8番人気で3戦3勝。ハデな一面がないため勝ち進んでも評価の上がらない馬だが、今回もきわめて勝負強かった。道中ずっと揉まれる位置で再三気合をつけられていたが、最後は力強く抜け出した。近親にはエムアイブラン(武蔵野S-GIIIなど重賞4勝)などの名が出ているパワフルな一族。距離はもっと延びても心配ないだろうし、1400〜1600mの時計の速い競馬で負けることはあっても、大崩れしない馬として成長しそうだ。

 2着のシークレットコード(父フサイチペガサス)は、初戦の新馬勝ちは明らかに太め残りの体で上がり34.1秒。今回の480kg(マイナス18kg)の方がバランス良く映った。母マジックコードは、9勝もしたカナダの古馬牝馬チャンピオン。テイエムプリキュアと同じように中団で揉まれ、掛かったりしていた。2戦目でこの内容なら、同じように2戦目で3着したフサイチパンドラとともに、いきなりトップグループに入ったといえる。

 大外を回った7着アイスドール、インで伸びを欠いた6着コイウタは、18番枠と、1番枠。ともに今回の馬場は合わなかった。

 難しいのは断然人気のアルーリングボイス。快勝したファンタジーS時とは、追い切りのパターンを変え、直前は軽くしてマイナス6kg。パドックでも一番チャカついていた。早熟うんぬんはともかく、7月の小倉から11月の京都まで4連勝。ずっと好調が続くわけもなく、今回は体調下降が敗因の一つだろう。

 ひと息入れたあとの3月ごろのステップレースで、再評価をうけることになる。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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