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【大阪杯】良馬場の時計勝負こそ望むところ

  • 2020年04月04日(土) 18時00分

今週は一段と全体時計が速くなるか


 昨年までと同様、阪神の芝はGIの今週から移動柵のBコース(3m移動)。毎日杯の好時計が示すように先週までも決して痛んだ馬場ではなかったが、今週は一段と全体時計が速くなるか、スローなら高速上がりになって不思議ない。

 土曜4レースの3歳未勝利戦の芝1600mは、時期的にもう全体レベルの高い組み合わせではないが、上々の1分35秒0、かつ接戦だった。

 GIになって過去3年、スローの流れが連続している。勝ち時計平均は1分59秒37=(前半60秒67-後半58秒70)にとどまるが、各馬の出方、動き方しだいで本当はもっとスピード能力が求められるレースだろう。今年もスローだろうという展開(流れ)推測は、往々にして予測と一致しない。意外や、きびしいペースだってありえる。

 前回の中山記念、昨春の皐月賞と同じように、流れに乗って好位から抜け出しを図りたいダノンキングリー(父ディープインパクト)は、良馬場の時計勝負こそ望むところ。大接戦だった皐月賞2000mの0秒0差3着は、皐月賞レコードと0秒3差の1分58秒1。少し距離が長いかと思われた2400mの日本ダービー2着も、ロジャーバローズのダービーレコードと首差同タイムの2分22秒6。

 珍しく出負けした毎日王冠1800mは、追い込み勝ちだが、1分44秒4(自身の上がり33秒4)はコースレコードと0秒2差。自在のスピード能力にあふれ、楽に先行できれば…などの注文はつかない。

 2400m級以上のスタミナと底力の勝負には疑問もあるが、良馬場の、ましてスローの可能性が高い2000mなら不安は少ない。ちょっと非力にも映る細身の身体つきが死角だったが、4歳になって力感を加えている。今回は万全を期して3日前に阪神への輸送を完了している。昨秋のマイルCS時のような物足りない状態ではないだろう。

 もちろん、総合力のあるGI馬ブラストワンピース(父ハービンジャー)、馬体の成長を示すGI馬ワグネリアン(父ディープインパクト)を筆頭とする男馬が有力だが、時計(上がり)の速い2000mで評価を上げなければならないのは「牝馬」。

 京都記念のクロノジェネシスは牡馬相手に完勝だった。2着カレンブーケドールは、ジャパンCの2着馬。リスグラシューは引退したが、成長をみせる牝馬がつづくように育っている。昨秋のエリザベス女王杯を快走したラッキーライラックも、鞍上スミヨンだけが激変の理由ではない。別定、定量のGII、GIになった過去36年間、牝馬の勝ち馬は3頭(2着は2頭)にとどまるが、近年はそういう時代ではない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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