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【皐月賞】芽立ちの勢いのように、一番元気なものにチャンスが巡ってくる

  • 2020年04月18日(土) 12時00分

その一方で不透明なところもある


 次から次へと出番を待っていたかのようにそこかしこと色づきだし、若緑色が増えてきた。春の花は、平均気温が10度ぐらいで咲き始め、15度になると新緑になると言われていた。皐月賞は、芽立ちの勢いを競っているようなレースで、この時点で一番元気なものにチャンスがめぐってくるということになっている。

 ひと昔前、皐月賞はスピードのある馬が勝ち、ダービーは運のいい馬、菊花賞は強い馬が勝つと言われていた。この三冠レースを目指すのが第一だった時代から、今では距離別のレース体系が確立され、早くからマイルGIに照準を合わせるものもいる。だが、この皐月賞でどんなレースをするかを見て今後の路線を決めるものもいて、それだけ不透明なところもある。

 クラシックレースもこの時期は、馬体に緩さを残し未完成な若駒が多く、間隔を置いて成長を促しながらレースに出る工夫を凝らしている。ステップレースも様々だから、どこを走って本番にのぞむかもいろいろ。

 昨年のサートゥルナーリアのように、暮のGIホープフルSを勝ってそれ以来の実戦が皐月賞だったといった、以前なら離れ業と言われるようなローテーションだったが、これで巧くいったのだから、この傾向は今年にも受け継がれてきた。

 コントレイルにサリオス、この東西の無敗のGI馬の直接対決は、それぞれが揃って4ヶ月ぶりのぶっつけ本番。ここまで時代が変わったのだと実感する。

 コントレイルは、真面目な性格で走りたい気持ちの強い馬。ホープフルSの勝利もあるが、その前の東京スポーツ杯2歳Sの快勝もクラシックを約束するものだった。肉体面と精神面を考えどう成長を遂げたか、この先をにらんで目が離せない。

 サリオスは、朝日杯FSのレースレコード勝ちが際立っている。レコードを出したあとは疲れが残るのが当たり前、この休養はセオリー通りだったが、無理なく仕上げられたことは大きなプラス。初の2000米になるが、ハーツクライ産駒で大きな走法、おっとりした性格から心配はなさそうだ。豪州の若き天才レーン騎手がどう導くか。

 この2頭に、従来のローテーション、弥生賞から本番を迎えるのがサトノフラッグ。これまでの4戦全てが2000米。3角すぎから一気に進出し、力でねじ伏せた弥生賞の勝ち方は、勢いと成長度で光っていた。

 ディープインパクト産駒2頭にハーツクライ産駒の3強が今年は抜けている。これにあと1頭加えるなら、キズナの初年度産駒クリスタルブラックを。粗削りで心身とも未成熟ながら強烈な決め手で中山2000米の京成杯を勝てたのが大きい。まだ3戦目、休んで馬体がひと回り大きくなってきた。

 どの馬が芽立ちの勢いで抜きんでるか、いずれもダービーも視野に入る馬たちだ。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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