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朝日杯フューチュリティS

  • 2005年12月12日(月) 12時50分
 おそらく流れは速くならないだろう…と予測された通り前半800m・47.4-後半800m・46.3秒で1分33秒7。絶好の芝コンディションで例年通りに1分33秒台の決着になったが、見た目の印象通り、すんなり流れた案外単調なレースだった。したがって紛れの生じる猛ペースの厳しい展開ではなく、上位を占めたのは人気馬同士。現在の1600mでの力関係を示した結果に近いといえるだろう。

 勝ったフサイチリシャールは、スタートが悪く心配されたが、二の脚がついてすんなり2番手。折り合いを欠くこともなくスムーズに追走できた。自分でスパートして最後は11.1-11.8秒。1600mは初めてだったが、スピード系のマイラーらしい危なげのないレース運びだった。これで4連勝。どういうタイプに育つかだが、ベストが1600〜1800mのマイラーに近い中距離型だろう。きわめて父のクロフネに似ているが、スケールは一枚落ち、ミニ・クロフネの印象を受けた。2歳チャンピオンになるだろうが、もうひと回り成長して、もっとパワフルなタイプに育ちたい。

 スーパーホーネットが2着。パンチの利いたストライドをみせる馬で、中団のインから非の打ちどころのないレース運び。ロドリゴデトリアーノの産駒は総じてタフ。ゆっくり成長する。ハデな一面はないがこれで路線に乗っただろう。それにしても内田博幸騎手は光っている。誤解をまねくから日本人騎手は別にすると、ペリエ、デザーモ騎手のレベルと少なくとも互角だろう。今回のように同じ位置にいると、内田博幸の方がずっとシャープで迫力(気迫)でも上回っている。

 そのデザーモのジャリスコライトは、道中でムチを落としたというが、それは敗因ではないだろう。今回は気配一歩、いかにも成長途上の体つきで、ここまで2戦、厳しいレースを経験していなかった弱みも出た。1頭だけ、馬自身が道中あわてていた。どういうタイプに育つか難しいが、父はシェルゲームの父と同じくブラッシンググルームの孫の世代で、日本のファンは良く知っているように、タイトルとは別に世界のトップホースでもない。アグネスデジタルの下ではなく、シェルゲームの下というムードがなくもない。

 ショウナンタキオンが4着。スムーズに追走でき内枠の利を生かせる好騎乗だったが、このペースを追走で伸び切れなかったあたり、やはり小回りの1600m向きではないのだろう。ローテーションはわからないが、共同通信杯の東京1800mぐらいの方が、成長をうながすレースとして、さらには真価発揮のレースとして合っていそうだ。ディープエアーは夏に比べ、案外変わっていなかった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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