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【ユニコーンS】ダート戦線をけん引するスターの誕生が期待される

  • 2020年06月20日(土) 12時00分

今後のダートでの走りにワクワクする面々


 ダート競走にある独特の風情には、捨て難い味わいがある。

 芝にくらべ一見地味だが、競走馬たちの走りは地道に着実で力強く、胸打たれるのだ。受ける感覚は、ちょうど雨に打たれて咲くいまどきの花、そう白十字の花のドクダミの生命力の強さに近い。ダートでひとたび名を成すと、その存在は長続きするし、種牡馬になっても自身同様、ダートでの活躍馬を数多く送り出している。それは、増えすぎるからといって抜いても、地中に四方八方白い地下茎を伸ばしていて根絶できないドクダミの強さに似ている。ごくありふれた花だが、それだけに心引かれるのだ。

 ダートの出世レースとして注目を集めるユニコーンSは、中央では数少ない3歳限定の重賞だが、2001年以降6月に移ってから、その色彩を濃くしてきた。今後のダート戦線をけん引するスターの誕生が期待されているレースだ。とりあえずは、交流GIジャパンダートダービーの前哨戦という位置づけになり、この段階でのJRAの3歳ダート王決定戦とも言える。

 さらには、今年は秋に延期されたケンタッキーダービーの前哨戦シリーズに加えられたので、ポイントを加算する目的の出走馬もいる。世界にはばたくチャンスだってあるということだ。

 この5年の勝ち馬すべてが後のGI馬になっていて、それにふさわしいものがここで勝つというのが定説。

 前走青竜S組が一歩リードしているが、ここは例年先行争いが激しく、長い直線で局面が一変することが多い。ただ昨年は、初ダートのワイドファラオが逃げ切っていた。最内枠から好スタートを決め、持ち前のしぶとさを発揮したのだが、ダート向きの血統が生きたことと、1分35秒台のスピードがものを言ったのだった。この舞台では、前哨戦より速い時計で走れないと通用しない。その可能性のある馬を選びたい。

 37年ぶりに米国の3冠馬になり、同年のBCクラシックも制して史上初のグランドスラムを達成したアメリカンファラオを父に持つカフェファラオ。10馬身差で逃げ切ったり、後方からねじ伏せたりして2連勝。4ヶ月ぶりで成長した姿を見るのが楽しみだ。

 自らもダートのGIを4勝し、種牡馬としても幅広く活躍馬を出しているゴールドアリュール産駒のサトノラファール。強烈な末脚で2連勝し、いかにも東京向きだ。

 直線競ってからが強いデュードヴァン。東京のこの舞台は、青竜Sを含め3戦3勝、さらなる可能性を秘めている。

 あとは、スピード能力からレッチェバロック、やはりダートなら末脚が生きるタガノビューティーなどを。

 とにかく、今後のダートでの走りにワクワクする面々。ユニコーンSに白い十字の花ドクダミの強さを捜したい。

(長岡一也)

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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